雨漏りは住宅にとって、資産価値を著しく下げる大敵と言えます。そのために、雨漏りはしっかりと対策を行い、住宅の価値を長期的に保存することが重要です。
しかし、雨漏りに対する具体的な対策方法について、一般の方にはあまり知られておらず、雨漏りが発生してから慌てて対策を行う人が多いです。
そこで、この記事では雨漏りを発生させないことをテーマに、「雨漏りを発生させない住まいづくり」について解説します。
特に、これから新築住宅を購入する方や、屋根リフォームを検討している方にとって雨漏りに強い住まいが一体どういうものなのかが理解できるようなるので是非、参考にしてくださいね。
目次
1.雨漏りのシチュエーション別の対策
雨漏り対策の基本は「雨漏りを発生させない構造にすること」です。住宅の設計段階から雨漏りが発生するリスクを排除することが雨漏り対策で重要な考え方です。
また、雨漏りが発生してしまった場合、早期発見・早期解決が重要です。そして、雨漏りの原因を確実に突き止め、シロアリの発生などの二次被害を食い止める必要があります。
このように雨漏り対策には、雨漏りが発生する前と、雨漏りが発生した後では取るべき対策が異なります。そのために、現在の住宅の現状に合わせた雨漏り対策を行う必要があるのです。
そこで、具体的な住宅の雨漏り対策をシチュエーション別に解説します。
まずは、住宅の雨漏り対策で最も重要な設計段階の雨漏り対策について見ていきましょう。
1-1.設計段階の雨漏り対策
住宅の雨漏り対策は家を建てる前の設計段階である程度決まります。
家を建てる前の設計段階でどれだけ雨漏りのリスクを削減できるかが、まず最初に取り組むべき雨漏り対策なのです。
そもそも、雨漏りは不規則に住宅のどこからでも発生するものではありません。上記の画像は、住宅の中で「雨漏りが発生しやすい箇所」をまとめたものです。
その中で、「設計段階の雨漏り対策」は住宅を建てる前の設計段階において、上記の画像のような雨漏りが発生しやすい箇所を極力排除して、雨漏りに強い住宅にしていく雨漏り対策になります。
具体的には、ドーマーやトップライト(天窓)、谷樋(たにとい)といった雨漏りが発生しやすい箇所を極力排除して、そもそも雨漏りが発生しない住宅にしていく取り組みになります。
実際に、どのような住宅にすればいいのか。雨漏りに強い住宅について見ていきましょう。
1-1-1.雨漏りに強い住宅の代表例
一般的に、雨漏りに強い住宅は、シンプルな形状ではありますが、下記の画像のような寄棟屋根と切妻屋根の住宅で総二階の住宅になります。
【軒の出が長く、雨漏りに強い切妻屋根の家】
出典:http://yoshidacraft.net/works/o-house/
上記の住宅は切妻屋根で軒の出が長く、インナーバルコニーの総二階建の住宅で雨漏りに非常に強い住宅になります。漏れるとすれば出窓周りです。
【寄棟屋根で軒の出のある総二階の住宅】
出典:http://www.all-eyefulhomenavi.com/will4/tsuchiuraminami/example/index.html
寄棟屋根も雨漏りに強い屋根形状になります。トップライトやドーマーなどの雨漏りが発生しやすい、取り合い部分が無く、軒の出もあるので雨漏りが発生しずらい屋根と言えます。
【軒の出の長い、切妻屋根の住宅】
出典:http://www.ii-ie2.net/scripts/usr/sougo.asp?p=909445
軒の出の長く、ドーマーやトップライト、谷樋などの取り合いが無い切妻屋根で雨漏りに強い屋根形状になります。雨が漏れるとしたら下屋周りになります。
1-1-2.雨漏りに強い住宅チェックリスト
具体的に雨漏りに強い住宅にするにあたって、具体的にどのようなことに注意すれば良いのでしょうか?雨漏りに強い住宅にするためのチェックするべき項目は下記の通りです。
【ポイント1】切妻屋根・寄棟屋根のようなシンプルな形状にする
屋根をシンプルな形状にするとは、谷樋やトップライト、ドーマーなどの雨漏りの発生しやすい箇所を無くし、屋根の形状をシンプルにすることです。
【ポイント2】軒の出を長くする
軒の出のある住宅と無い、住宅とでは住宅の雨漏りに対する耐性に差が生じます。
そもそも、軒の出は住宅における雨避けの役割があり、外壁と屋根の取り合い部分などの雨漏りが発生しやすい箇所を保護する役割があります。
特に、木造住宅は長時間、水に浸っていると腐食してしまい、その腐食箇所から雨漏りが発生するので、軒の出は必ず設けるようにしましょう。
【ポイント3】屋根勾配を3~6寸にする
屋根勾配とは屋根の角度を指します。勾配が緩やかだと、雨水の流れも緩やかで適切に排水することができません。一方で、急勾配だと屋根に上ることができずに、点検ができません。
そのために、雨漏り対策として屋根勾配を検討する際は、適切に排水を排水することができる勾配で、簡単に屋根に登って点検もできる勾配にする必要があります。
その中で、屋根勾配は3寸~6寸の範囲が点検もしやすく、排水性もあるので雨漏り対策として効果があります。
【ポイント4】下屋、破風、開口部などの雨仕舞い(捨てフェルト)を写真に残す
下屋、破風などの外壁との取り合い部分や、サッシ周りのなどの開口部には捨てフェルトと呼ばれる雨仕舞いを行います。
その中で、実際の建築の際は正しく雨仕舞いがされているかを写真に残してもらうことが重要です。
なぜ、雨仕舞いを写真に残してもらうのかというと、雨漏りの発生は性能不良が原因によるものも多いからです。
出典元:住宅相談統計年報2017(http://www.chord.or.jp/tokei/pdf/soudan_web2017.pdf)
上記の画像は、公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターの”住宅相談統計年報2017”の戸建住宅の不具合事象と主な不具合部位から抜粋した図です。
その中で、性能不良による不具合は全体の12%にのぼり、3番目に多い統計になります。
そのため、雨漏り対策として「どのような雨仕舞いがされているのか?」、「正しく、雨仕舞いがされているのか?」を確認するために写真を残してもらうようにしましょう。
1-1-3. 雨漏りが発生しやすい住宅
出典:http://www.doctor-sumai.com/bbp02.php?itemid=192
R(丸型)屋根、R屋根と外壁の取り合い、トップライトなど雨漏りが起こりやすい箇所のオンパレードです。特に、R屋根は構造が複雑で雨漏りが発生しても修理をするもの難しい屋根形状になります。デザイン性は非常に優れていますが、雨漏り対策としては避けるべき住宅です。
出典:http://www.doctor-sumai.com/index.php?itemid=208
パラペット・アール屋根・アール壁・フラットルーフ・内樋・軒の出無し・トップライト・バルコニー・勾配の緩い屋根・換気口無し(結露問題)など雨漏りが発生しやすい箇所のオンパレードです。デザイン性は非常に優れていますが、雨漏り対策としては避けるべき住宅です。
1-2.住み始めてから行う雨漏り対策
住宅の設計段階から雨漏りが発生しやすい箇所を減らし、雨漏りの発生リスクを低減することは非常に重要です。
しかし、多くの人が住宅の設計段階では”雨漏り”を意識していないのが現状です。そして、雨漏りが発生して始めて、「雨漏り対策をしておけば良かった」と後悔するする人も少なくはありません。
その中で、雨漏りを発生させないために住み始めてから(家を建てた後)行う雨漏り対策として、定期的に10年に1度の点検とメンテナンスを行うことが非常に重要です。
例えば、雨漏りは”瓦のひび割れ”や棟板金(屋根の頂点のカバー)が経年劣化で浮いてしまった隙間から雨水が侵入し発生します。
また、外壁の場合、コーキング(外壁材と外壁材の隙間のパッキン)が経年劣化でひび割れたり、外壁材自体が浮いて隙間ができてしまうことから雨水が侵入します。
このような屋根材・外壁材の劣化にいち早く対応し、修復することが、住宅を建てた後の具体的な雨漏り対策になります。
そのために、定期的に点検を行い、外壁塗装のなどの正しいメンテナンスを行うことが重要です。
それでは、具体的に箇所別に雨漏りのチェック箇所とメンテナンス方法について見ていきましょう。
1-2-1.屋根の雨漏りを予防する対策
スレート屋根
出典:http://roof-works.com/archives/570
スレート屋根は10年に1度を目安に屋根塗装によるメンテナンスが基本です。
屋根塗装を放置すると、屋根材がひび割れ、棟板金が歪んだり、浮いたりし、雨漏りの原因となります。
しかし、屋根は実際に登ってみなければ、具体的な劣化症状を確認することができません。
そのために、10年に1度は点検を含めた屋根塗装が必要になります。割れた屋根材や棟板金の浮き補修し、塗装にメンテナンスを行うことで、劣化箇所を補修し、屋根材に新築時と同様の防水効果をもたらします。
なので、スレート屋根の雨漏りを予防する為に、10年に1度を目安に塗装によるメンテナンスを行うようにしましょう。
瓦屋根
瓦(粘土瓦)は耐久性に優れた屋根材として屋根塗装などの、メンテナンスの必要はありません。
しかし、瓦屋根は屋根の頂点にある、棟の漆喰が崩れたり、瓦屋根が歪んだり、ズレてしまうことが原因で雨漏りが発生することから、定期的な点検が必要です。
瓦屋根もスレート屋根と同様に瓦のズレや漆喰の崩れなどは、実際に屋根に登ってみなければ確認んすることができません。そのために、瓦屋根も10年に1度を目安に屋根修理業者に点検をしてもらうようにしましょう。
その際に、漆喰が崩れていた場合は、棟の積み替え工事、瓦が歪んでいた場合は、瓦の積み替え工事など、定期的な点検を行い、雨漏りの発生原因となる劣化を改善することが重要です。
また、瓦は屋根に固定されているものではなく、「置いてある」ような状態です。その為に、大きな地震や台風の後は、瓦がズレてしまうことも少なくありません。
そのために、大きな地震や台風などの際も同様に専門業者による点検をしてもらうことが、屋根を正常に保ち、雨漏りを発生させないポイントです。
金属屋根
出典:http://e-mima.net/works/w_wallpaint/yanefukikae.html
金属屋根はトタンやガルバリウム鋼板などの金属製の屋根ですが、錆による腐食が主な雨漏りの原因となります。
そのために、スレート屋根と同様に10年に1度を目安に屋根塗装によるメンテナンスを行うことが重要です。
その中で、ガルバリウム鋼板はメンテナンスフリー(メンテナンスの必要が無い)の屋根材と言われており、基本的に塗装によるメンテナンスは必要ありません。
しかし、金属屋根は瓦屋根の6分の1ほどの軽さであり、耐震性能に優れた屋根材ではありますが風に弱く、台風などの際に、屋根材がめくれ上がってしまうことも少なくはありません。
このような突発的な不具合を事前に予防する為にも、メンテナンスフリーのガルバリウム鋼板であっても、10年に1度は点検を行うことが重要です。
1-2-2.外壁の雨漏りを予防する対策
サイディング
サイディングは新築住宅で幅広く導入されており、現在の住宅の標準的な外壁材になりますが、具体的な雨漏り対策として10年に1度を目安に外壁塗装によるメンテナンスが必要です。
そもそも、サイディングは窯業系と呼ばれる、セメント質の外壁材で、塗装によって防水性能を発揮している外壁材です。そのために、経年劣化で塗装の防水性能が低下すると、スポンジのように水を吸収するようになり、外壁材が歪んだり、反ったりするようになります。
そして、反ってしっまった部分から雨水が侵入することで、雨漏りが発生します。
また、サイディングは外壁材と外壁材の隙間に、コーキングと呼ばれるゴム状のパッキンが埋め込まれていますが、このコーキングは経年劣化で”ひび割れ”や”破断”します。このコーキングの劣化箇所も雨漏りの直接的な原因となります。
このようにサイディングは外壁塗装により外壁材そのもののメンテナンスと、古くなったコーキングの交換の2つのメンテナスが必要になります。
そして、10年に1度を目安に外壁塗装を行うことで、雨漏りの直接的な原因を排除することがサイディングの雨漏りを予防する具体的な対策です。
サイディングのメンテナンス方法に関してはサイディングのメンテナンス時期と費用対効果が最大化する塗装プランをお読みください
モルタル外壁
モルタル外壁は、サイディングのように”外壁パネル”を組み立てる外壁とは異なり、モルタルを外壁に塗りつける土壁のような外壁になります。
その中で、モルタル外壁は”ひび割れが”起こりやすいのが特徴で、そのひび割れ箇所から雨水が侵入し、雨漏りが発生します。
その為に、モルタル外壁もサイディングと同様に10年に1度を目安に外壁塗装の必要があります。
外壁塗装の際には、ひび割れ箇所をしっかりと修復し、ひび割れに対して、伸縮性のある塗料を選ぶことが、モルタルの雨漏り対策としては重要です。
モルタルの外壁塗装に関しては”モルタル塗装の最適な時期は?サインを見逃さずにお得に施工する方法”で詳しく解説しますのでご参照ください。
なので、モルタル外壁の雨漏り対策は、ひび割れの補修を含めて10年に1度を目安に外壁塗装を行うようにしましょう。
1-2-3.ベランダ・バルコニーの雨漏りを予防する対策
出典:https://lixil-reformshop.jp/shop/SC00021011/case/029247.html
ベランダ・バルコニーは住宅の中でも雨漏りが発生しやすい箇所になります。そのために、ベランダ・バルコニーも雨漏り対策が必要です。
ベランダ・バルコニーの雨漏り対策は、日々の”清掃”と”定期的なメンテナンス”が主な雨漏り対策になります。
それぞれ、具体的に解説します。
トップコートの塗り替え
ベランダ・バルコニーの雨漏りの原因は、”床部分のひび割れ”、”防水シートの劣化”、ドレンのつまりが主な原因となります。
その中で、ベランダ・バルコニーはFRP防水と呼ばれる防水処理が施されており、その耐用年数は10年~13年と言われています。
しかし、雨漏りのリスクを極限まで低減する雨漏り対策としては、5年を目安にトップコート(表面の塗装)を塗り替えることをオススメします。
5年を目安にトップコートを塗り替えることで、FRP防水層に劣化が侵食する前に、メンテナンスができるからです。
そのために、具体的なベランダ・バルコニーの雨漏り対策として、5年に1度を目安にトップコートの塗り替えによるメンテナンスが必要です。
ドレンつまりを解消する
ベランダ・バルコニーの劣化は、FRP防水層の劣化の他に、ドレン(排水溝)の詰りが原因となります。そのために、排水溝にゴミが詰まらないように定期的に掃除をすることが重要です。
弊社にご相談頂いたベランダ・バルコニーの雨漏り事例としても多いのですが、ドレンがゴミで詰まってしまい、配管の内部で漏水するケースも少なくはありません。
そうなると、ベランダの内部構造が腐食をしてしまい、ドレン管(排水パイプ)ごとゴッソリと抜け落ちてしまう危険があります。
このようにベランダ・バルコニーは住宅の中でも雨漏りが発生しやすい箇所であり、ドレン管が抜け落ちてしまうなど、非常に危険なので日々の清掃を欠かさないようにしましょう。
1-3.雨漏り発生後の対策
まず、雨漏りは”早期発見・早期解決”が基本です。
なぜなら、雨漏りを放置すると建物躯体(構造)が歪み、住宅の資産価値を著しく低下させるだけでなく、シロアリなどの二次被害に発展するからです。
そのために、雨漏りに気づいた時点で、専門業者に点検を依頼して、早急に修理をしてもらうことが重要です。
雨漏りの発生箇所によって適正な修理業者が異なるので、雨漏り修理業者の選び方について解説します。
1-3-1.屋根の雨漏り修理業者の選び方
二階の天井に雨染みができている場合は、屋根が原因で雨漏りが発生していると考えられます。
その際は、瓦業者や屋根板金業者など屋根の専門業者が最適です。
実際に屋根の修理業者を探す際は、一括見積もりサイトを利用すると便利です。弊社が運営する”イーヤネット”でも雨漏り修理業者をご紹介できるので是非、ご利用ください。
1-3-2.外壁の雨漏り修理業者の選び方
1階の天井と壁の間に雨染みがある場合は、ベランダや2階の窓サッシからの雨漏りが考えられます。
その為に、外装リフォーム業者や塗装業者、防水業者に現地調査を依頼すると間違いがありません。
屋根の雨漏りと同様に、外壁やベランダが原因の雨漏りは一括見積もりサイトの利用が便利です。弊社が運営する”いえぬり”でも雨漏り修理に実績のある業者が多数加盟しているので、業者選びの際は是非ご利用ください。
→いえぬり
2.雨漏りの事例と対策
ここからは、住宅で雨漏りがしやすいポイント別に、雨漏りの対策方法を実際の事例を交えつつ解説します。まずは、雨漏りが最も発生する屋根の雨漏り対策について見ていきましょう。
2-1.屋根の雨漏りの原因と対策
2-1-1.フラットルーフ(陸屋根)の雨漏り対策
出典:http://sweeper.exblog.jp/20221198/
上記の画像はフラットルーフ(陸屋根)にプールのように水が溜まってしまっている画像です。
画像だけでも、雨漏りの危険性が伝わると思いますが、雨水を排水するドレンが落ち葉などの堆積物で完全ふさがってしまったことが原因です。
ドレンに落ち葉が詰まらないように清掃をすればこのような事態は避けられたのですが、屋上に登る手段がなく、ハシゴを掛けなければ登ることができなかったために、清掃することができませんでした。
そのために、フラットルーフの屋根を検討する際の具体的な雨漏り対策として、設計段階から点検口を設けるなどの措置が必要になります。
2-1-2.軒の出の無い屋根の雨漏り対策
基本的に軒の出がしっかりとある住宅は、雨漏りに強い屋根になります。
一方で、軒の出がほとんど無く、軒先から外壁が取り合う場合はケラバ部分から雨漏りしやすくなります。
このような軒の出の短い屋根の場合、破風板を取りつける前に、大工工事で捨てフェルトと呼ばれる水切りを設置することで雨漏り対策を行います。
この捨てフェルトは外壁工事が施行されるとまったく見えなくなるので、軒の出の短い住宅の場合は、施工工程を写真に残してもらうなどして、捨てフェルトの設置の有無を記録として残しておきましょう。
2-1-3. 煙突・ドーマーの雨漏り対策
ドーマー・煙突・換気口などの屋根に穴を開けて設置される突起物は、雨の流れを堰き止めてしまうために、どうしても雨漏りのリスクは上がります。
特にドーマーを設置すると、採光量が多くなり、室内が明るくなり、おしゃれな外観を演出することに一役買います。
しかし、屋根の上にもう一つ屋根を設置するようなもので、”屋根との取り合い部分”、”ケラバ”など、雨が漏れやすい箇所を増やしてしまいます。
これは、ドーマーだけではなく”煙突”にも言えます。
その中で、具体的な雨漏り対策としては、ドーマーや煙突を設置する際は、棟、隅棟、谷部分からなるべく離した箇所に設置するようにしましょう。
棟、隅棟、谷部分の近くに設置すると、水の流れをドーマーや煙突がせき止めてしまし、屋根の排水性能を低下させてしまうからです。
そのために、煙突やドーマーなどの突起物を屋根に設置する際は、棟、隅棟、谷部分は避け、水の流れを堰き止めないように配慮することが大切です。
2-1-4.トップライト(天窓)の雨漏り対策
トップライト(天窓)は住宅に光を取り入れ、室内を明るくする役割がありますが、屋根に穴を開けて、窓を埋め込むことから雨漏りが発生する可能性が高い箇所になります。
将来的な雨漏りのリスクを無くす意味では、設計段階から削除した方が良いですが、住宅の採光を考慮して設置せざるおえない場合もあります。
出典:http://www.souma-kougyou.com/Knowledge/48.html
その中で、トップライト(天窓)を設置する際は、ガラス面の位置を屋根面よりも立ち上がり寸法を大きくする(出っぱらせる)ことが重要です。これはトップライト上に雨が流れない構造になるためです。
このように屋根面よりも高く保つことが、トップライトの雨漏り対策として重要です。
2-2.外壁の雨漏りの原因と対策
2-2-1.アスファルト捨て張りの雨漏り対策
出典:http://www.doctor-sumai.com/bbp02.php?itemid=407
アスファルト捨て張りとは、上記の画像のように、アスファルトフェルトを垂らしておき、その下に外壁の防水シートを差し込む雨仕舞いの方法です。
捨てフェルトは非常に簡単な雨仕舞いなのですが、万が一雨水が侵入しても効率的に排水できるようになるために、雨漏りのリスクを大幅に低減することができます。
主に、サッシ周りや換気フードなどの開口部や、庇やシャッターボックスなどの突起部にも応用ができます。
このアスファルトの捨て張りによる雨漏り対策は、外壁材が取り付けられると隠れてしまうために、施工段階で写真で残してもらうようにしましょう。
2-2-2.化粧胴差
化粧胴差とは柱、軒桁、胴差、筋違いなどの構造物を化粧として見せたものです。
この化粧胴差・化粧軒桁は、住宅の装飾として住宅の構造とは別に化粧部材を取り付けただけのものが一般的ですが、雨漏りの観点からは、化粧胴差と化粧軒桁の取り合い部分が問題になります。
水平の部材(化粧胴差、化粧軒桁、化粧土台)などが外壁に露出する場合、すべての水を受けることになるので、雨漏り対策が必要となります。
出典:http://www7a.biglobe.ne.jp/~nognog/200512.htm
その際は、上記の画像のように水切りを設置して雨漏り対策をするのが一般的です。
しかし、デザイン上、またはコスト上の問題で水切りを設置しない場合もありま。その場合は、コーキング材で雨仕舞いを行います。
ただし、コーキングは雨や紫外線が当たる状態では、5年~10年で劣化します。そのコーキングの劣化と共に、様々な問題を引き起こすようになります。
このように雨漏りのリスクを考慮すると、化粧胴差や化粧軒桁は雨漏りのリスクが高く、「水切りの設置」などの雨漏り対策が必要になります。
まとめ
いかがでしたか?雨漏りの具体的な対策方法についてご理解いただけたかと思います。
雨漏りは一度発生すると建物の資産価値を台無しにする劣化症状です。その為に、雨漏りを発生させない住まい作りとして重要なことは、雨漏りを発生させない家にすることです。
本文中でもお伝えしましたが、雨漏りはどこからでも発生するものではありません。「雨が漏れる箇所」と「雨が漏れない」箇所があります。
その中で、雨漏り対策として重要なことは、設計段階で雨が漏れる箇所を極力減らすということです。
そのためにも、まずは住宅の中で雨漏りが発生しやすい箇所について理解を深めることが何よりも大切です。
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