「セメント瓦ってどんな瓦なの?」「普通の瓦と何が違うの?」そう疑問に感じて”セメント瓦”について調べていませんか?
セメント瓦は従来の陶器瓦と比べて初期費用が安いことから、現在より30年〜40年ほど前に普及した屋根材になります。
現在では製造が中止されており、普及しているセメント瓦も耐用年数が経過していることから「屋根の葺き替え」を提案されることが多い屋根材になります。
そこで、この記事ではセメント瓦の屋根を適切にメンテナンスするための基礎知識について解説します。
セメント瓦と他の屋根材との違いや、セメント瓦の屋根リフォームの方法などセメント瓦を適切にメンテナンス・リフォームする方法について解説します。
この記事を読むだけで、現在のセメント瓦に最適なリフォーム方法やメンテナンス方法が分かるので是非、参考にしてみてくださいね。
目次
1. セメント瓦とは
セメント瓦はセメントを主成分とした屋根瓦です。
従来の陶器瓦(粘土瓦)と比べて初期費用が安いことから、1980年〜1990年にかけて戸建て住宅で広く普及した屋根瓦です。
現在、製造が中止されており新築住宅でセメント瓦を使用することはありません。
一方で、現在、普及しているセメント瓦の多くが、施工から30年〜40年ほど経過しており、セメント瓦の耐用年数(寿命)を越えている状況で、葺き替えの必要に迫られているのが現状です。
”雨漏り修理”や”屋根塗装”の際に、「セメント瓦だから葺き替えた方が良い」「塗装では対応できない」とリフォーム業者から指摘されることが多い屋根材です。
このようにセメント瓦は1980年〜1990年にかけて普及したセメントを主成分とした屋根材ということを理解しておきましょう。
1-1. セメント瓦と陶器瓦・コンクリート瓦との違い
瓦にはセメント瓦の他に、”陶器瓦(粘土瓦)”と”コンクリート瓦(モニエル瓦)”の3つの種類があります。
どれも形状が似ていますが、耐用年数(耐久性)もメンテナンス方法も異なるために、瓦の種類と見分け方を知っておくことで、メンテナンス方法やリフォーム工法に対する理解が深まります。
特に、”セメント瓦”と”モニエル瓦”は素人では区別がつきにくく、DIYで塗装をする際は、”セメント瓦”と”モニエル瓦”の違いを理解していないと施工不良を起こす可能性が高いので注意が必要です。
このようにセメント瓦を正しく理解するためにも、陶器瓦(粘土瓦)とコンクリート瓦(モニエル瓦)の見分け方について見て行きましょう。
1-2. セメント瓦と陶器瓦(粘土瓦)との違い
セメント瓦と陶器瓦(粘土瓦)は形状で見分けることができます。
陶器瓦(粘土瓦)は日本古来の瓦で丸みのある形状をしています。一方で、セメント瓦は形状が平たく角ばっていたり、谷(瓦の丸みを帯びた部分)が多いのが特徴です。
ただし、陶器瓦(粘土瓦)と形状が同じセメント瓦もあるので注意が必要です。形状が同じ場合は、素人では判断が難しいために、表面の劣化状況で判断します。
陶器瓦(粘土瓦)は耐用年数(寿命)が80年〜100年と非常に長期的で目立った劣化症状は現れません。一方で、セメント瓦は30年〜40年が経過すると表面の塗装が剥がれ、ボロボロになります。
このように”セメント瓦”と”陶器瓦(粘土瓦)”は形状で見分けることができます。
1-3. セメント瓦とコンクリート瓦(モニエル瓦)との違い
セメント瓦とコンクリート瓦(モニエル瓦)の違いは瓦の小口(瓦の淵)で判断します。瓦の小口が滑らかなのがセメント瓦、凹凸がありギザギザしているのがコンクリート瓦(モニエル瓦)です。
ただし、屋根を下から見上げてもその違いが分かりません。自分で屋根に登って確認するのは非常に危険なので屋根塗装の際に業者に確認してもらうようにしましょう。
また、セメント瓦とコンクリート瓦(モニエル瓦)では塗装方法が大きく異なります。特に、コンクリート瓦(モニエル瓦)は塗装が難しく施工不良が多発している屋根材なので注意が必要です。
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このようにセメント瓦とコンクリート瓦(モニエル瓦)は瓦の小口(瓦の淵の部分)の形状で判断することができます。
コンクリート瓦(モニエル瓦)の塗装やメンテナンス方法については、”モニエル瓦の塗装で施工不良を避ける2つの注意点と適正業者の選び方 ”で詳しく解説しています。
1-4. セメント瓦が製造されなくなった理由
現在、セメント瓦は製造されていません。
新築住宅で普及率の高いスレート瓦の方が費用対効果が高くメンテナンス性に優れているからです。
これはセメント瓦のデメリットでもあり、セメント瓦の屋根リフォームで”葺き替え”と”塗装”で迷った際に比較するべき項目です。
セメント瓦が製造されなくなった理由について解説します。
1-4-1. 日本瓦と比べて耐久性が低い
陶器瓦(粘土瓦)は耐久性が50年〜100年と非常に長期的な一方で、セメント瓦の耐久性は30年〜40年になります。
現在、最も普及しているスレート瓦の耐用年数(耐久性)が25年〜30年で、セメント瓦の耐久性は決して短期的なわけではありませんが、耐震性能を考慮すると優れた屋根材とは言えません。
セメント瓦の重量は陶器瓦(粘土瓦)と同じで、スレート瓦の3倍の重要があります。屋根が重いと、住宅の重心が上がるために住宅の耐震性が低下します。
このようにセメント瓦は日本瓦と比べて耐用年数が低く、スレート瓦と比べて耐震性能が低いことから次第に普及しなくなりました。
1-4-2. 屋根塗装によるメンテナンスが必要
陶器瓦(セメント瓦)と異なり、セメント瓦は塗料で着色されています。
経年劣化で塗料が劣化することから、定期的に屋根塗装を行う必要があります。
陶器瓦(粘土瓦)はメンテナンスフリー(メンテナンスが必要ない)の屋根材のために、塗装などのメンテナンスが必要ありません。
屋根塗装などのメンテナンスの費用が発生しないのが陶器瓦(粘土瓦)メリットですが、セメント瓦は屋根塗装が必要でメンテナンス費用が発生します。
このようにセメント瓦は維持費(メンテナンス費用)が発生するために、初期コストが安いスレート瓦に代替えされるようになりました。
2. セメント瓦の葺き替え
耐用年数が経過したセメント瓦はガルバリウム鋼板と呼ばれる金属性の屋根に葺き替えられるのが一般的です。
なぜなら、ガルバリウム鋼板に葺き替えることで住宅の”耐久性”と”耐震性”を同時に向上させることができるからです。
ガルバリウム鋼板は、近年普及し始めた金属性の屋根材で耐用年数(寿命)が40年〜50年と長期的で、住宅の耐震性に影響を及ぼす、重要もセメント瓦の1/6と非常に軽量なのが特徴です。
また、メンテナンスフリー(塗装の必要がない)の屋根材であり、屋根塗装などのメンテナンス費用が発生しません。
セメント瓦の耐用年数(寿命)は30年〜35年ですが、耐用年数(寿命)が経過したセメント瓦は金属瓦の耐久性優れたガルバリウム鋼板に葺き替えることによって、”住宅の耐震性の向上”と”コストパフォーマンス”に優れた屋根リフォームを実現することができます。
それでは、具体的にセメント瓦の葺き替えについて解説します。
2-1.セメント瓦の葺き替え目安
セメント瓦の葺き替え目安は屋根材の耐用年数が経過した築30年〜35年を目安に行います。
耐用年数が経過したセメント瓦は屋根材自体が劣化しているため、屋根塗装を行っても、「塗装が水ぶくれのように膨れてきた」「塗装後、すぐに塗装が剥がれた」などの施工不良に危険があるからです。
このような屋根塗装で施工不良を起こしてしまうと、再塗装をすることができなくなるために結局、屋根の葺き替え工事が必要です。
このようにセメント瓦は耐用年数である築30年〜35年を目安に行うようにしましょう。
3. セメント瓦の塗装方法
セメント瓦は塗装により防水性能を確立しているために、屋根塗装によるメンテナンスが必要です。
しかし、現在普及しているセメント瓦は30年〜40年が経過しているもの多く、塗装よりも葺き替える必要性のある屋根の方が多いのが現状です。
そのため、屋根塗装を検討する際は、信頼できるリフォーム会社に現地調査をしてもらい、セメント瓦の状態を確認してから塗装を検討するようにしましょう。
まずは、セメント瓦の塗装目安についてお伝えします。
3-1. セメント瓦の塗装の目安
セメント瓦の塗装は10年を目安に劣化するために、10年を目安に屋根塗装が必要です。
塗料は太陽の紫外線の影響で劣化し、塗装後5年〜8年を目安にチョーキング現象と呼ばれる劣化症状が発生します。
このチョーキング現象は塗料がチョークの粉のように表面に吹き出す劣化症状ですが、このチョーキング現象を放置すると屋根が水を吸収するようになり、”カビ”や”コケ”が繁殖するようになります。
このカビやコケが生えた状態を放置すると、セメント瓦自体が劣化をして塗装の下地として使用できなくなるので塗料の劣化段階である10年〜13年を目安に再塗装を行うのが基本です。
4.新しいタイプのセメント瓦
セメントを主原料とするセメント瓦は現在では製造されていませんが、セメントと樹脂のハイブリッドのセメント瓦は普及しています。
ケイミュー株式会社から発売されているルーガと呼ばれるセメント瓦で、販売から10年が経過しています。
ルーガは施工実績もあり、性能も検証され専門家からも高い評価を得ている屋根材です。
セメント瓦の屋根の葺き替えの際はルーガもオススメです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?セメント瓦についてご理解いただけたかと思います。
セメント瓦は製造が中止されており現在普及しているセメント瓦は普及してから30年〜40年が経過しています。
葺き替えの必要性が高い屋根材ということを忘れずに、長期的なメンテナスプランを考慮して費用対効果の高い屋根リフォームを実現するようにしましょう。
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