「セメント瓦って塗装が必要なの?」「セメント瓦の屋根塗装の費用はいくらが相場なの?」そう疑問に感じてセメント瓦の塗装について調べていませんか?
セメント瓦はその名の通り、「セメント」を主原料にした瓦で表面に塗装が施されていることから、10年に1度を目安に塗装が必要です。
一方で、従来の陶器瓦(粘土瓦)は釉薬(ゆうやく)と呼ばれるお皿などの陶器と同じ表面処理がされているために塗装の必要はありません。
また、セメント瓦と陶器瓦(粘土瓦)は形状も似ていることから、セメント瓦であっても陶器瓦(粘土瓦)と勘違いして、屋根が劣化し雨漏り修理が発生した段階や訪問販売に指摘されて気がつく施主も多いです。
そこで、この記事ではセメント瓦の塗装を検討されている方を対象にセメント瓦の塗装で失敗しない基礎知識について解説します。
セメント瓦の塗装の目安や必要性を始め、実際のセメント瓦の塗装事例を集計した費用相場などセメント瓦を塗装する前に知るべき基礎知識について解説します。
この記事を読むだけで、適正価格で高品質な屋根塗装を実現できるようになるので是非、参考にして下さいね。
目次
1. セメント瓦の塗装の必要性
セメント瓦は塗料が劣化する10年に1度を目安に塗装が必要です。
セメント瓦はセメントを主原料とする瓦ですが、セメント自体に防水性能はありません。
そのため、塗装を放置するとセメントの主成分であるカルシウムが流出してしまい、骨材(砂利や砂)が露出し、少しの衝撃で割れるようになります。
そのため、セメント瓦は塗料が劣化する10年に1度を目安に塗装が必要です。
1-1. セメント瓦の劣化症状と塗装目安
セメント瓦は塗料の劣化である、チョーキング現象が発生した段階で屋根塗装を行うのが一つの目安です。
このチョーキング現象の段階で屋根塗装を行うことで、セメント瓦の本体を傷つけずにメンテナンスができるためにセメント瓦が長持ちするようになります。
しかし、セメント瓦は今から30年〜40年の新築住宅で流通した屋根材で、現在では生産が中止されています。
現在、普及しているセメント瓦の多くが施工後、30年〜40年が経過した耐用年数(寿命)が迫った製品が多いのが現状です。
そのため、これまで屋根塗装を行っていなかったセメント瓦は状態によって塗装の下地として使用できずに、施工不良の危険があることから屋根の葺き替えが必要となる場合があります。
このようにセメント瓦はチョーキング現象が発生した段階で屋根塗装を行うのが理想ですが、現在普及しているセメント瓦の多くが耐用年数(寿命)が差し迫っている状態のために葺き替えを含めて検討することが重要です。
1-2. セメント瓦の耐用年数とメンテナンスプラン
セメント瓦の耐用年数(寿命)は約30年で30年〜40年を目安に屋根の葺き替えが必要です
なぜなら、耐用年数が経過したセメント瓦は”セメント瓦そのもの”が劣化していることが多く、「塗装後、スグに塗装が剥がれた」「塗装面が水ぶくれの膨れた」などの施工不良を起こす可能性が高いからです。
特に、これまで一度も屋根塗装を行って来なかったセメント瓦の場合、セメント瓦そのものが劣化して塗装の下地として使用できない場合が多いので屋根を葺き替えるのが一般的です。
セメント瓦の葺き替えにはガルバリウム鋼板が使用されるのが一般的で、セメント瓦よりも軽く、屋根の軽量化が図れるために住宅の耐震性能が向上します。
このようにセメント瓦は耐用年数が経過する30年〜40年を目安に葺き替えるのが一般的です。
2. セメント瓦の塗装の費用相場
セメント瓦の塗装は相場が不透明で一般的に相場価格が浸透していないため、法外な金額を提示されても気がつきません。セメント瓦の塗装の費用相場について理解しておくことが重要です。
特に、訪問販売業者にセメント瓦の劣化を指摘されて塗装を検討している場合は、相場価格よりも遥かに高額な場合があるので必ず見積もり価格の妥当性を確認するようにしましょう。
それでは、具体的にセメント瓦の費用相場について解説します。
2-1. セメント瓦の塗装の建坪別の費用相場
塗料の種類 | 20坪 | 30坪 | 40坪 |
---|---|---|---|
シリコン塗料 | ¥273,000 | ¥367,500 | ¥462,000 |
フッ素塗料 | ¥315,000 | ¥420,000 | ¥535,500 |
セメント瓦の塗装はシリコン塗料が標準的な塗料で普及率が高いです。
日本の住宅の平均的な広さである、建坪が30坪の住宅をシリコン塗料で塗装をした場合のセメント瓦の塗装費用の相場35万円〜40万円が相場です。
耐久性の高い”フッ素塗料”や”断熱塗料(ガイナ)”は塗料の価格が高いために、シリコン塗料と比べて10万円ほど価格が高くなります。
このようにセメント瓦の塗装は平均的な30坪の住宅でシリコン塗料を使用した場合、35万円〜40万円が相場です。
2-2. セメント瓦の塗装の単価相場
内容 | 単価相場 |
---|---|
足場・飛散防止ネットの設置 | ¥124,800〜¥176,000 |
高圧洗浄 | ¥9,200〜¥17,400 |
下塗り | ¥36,800〜¥69,600 |
中塗り・上塗り | ¥138,000〜¥261,000 |
縁切り | ¥20,700〜¥39,150 |
セメント瓦の塗装は、”塗装面積”や”施工単価”が多く見積もられていることがあるために、見積もり価格だけではなく、各工程の単価相場まで確認することが重要です。
特に、注意するべき項目は高圧洗浄で、見積もり段階で大幅な値引きがあった場合は、高圧洗浄値引き分の費用が高圧洗浄の項目に上乗せされていることがあるので必ず確認するようにしましょう。
このように見積もりの妥当性を確認するために、見積もり価格だけではなく、見積もり項目の単価相場も含めて確認するようにしましょう。
3. セメント瓦の塗装の塗料の選び方
塗料の種類 | 商品名 | メーカー | 特徴 |
---|---|---|---|
シリコン | 水系カスタムシリコン | 水谷ペイント | セメント瓦の塗装に十分な耐久性と耐候性を持ち合わせており、費用が安く費用対効果が高い |
ヤネフレッシュSI | エスケー化研 | 高い耐久性を発揮する油性塗。セメント瓦の塗装の標準的な塗料。 | |
ヤネフレッシュ | ヤネフレッシュF | エスケー化研 | 高額なフッ素塗料ならではの高い耐久性と耐候性を発揮する。セメント瓦を長持ちさせることが可能。 |
遮熱 | 快適サーモWSI | 水谷ペイント | 特殊顔料によって赤外線を緩和させ、セメント瓦の温度変化を低減させる塗料。 |
屋根は住宅の中で最も過酷な条件に晒されているために、耐久性と耐候性に優れた質の高い塗料を使用することが重要です。
最低でもシリコン以上の塗料を使用するようしましょう。
また、遮熱塗料はセメント瓦などの厚みのある屋根材に使用しても「室内の温度変化」などの効果は得られませんが、セメント瓦自体の温度変化を低減させることができるので、シリコン塗料よりもセメント瓦を長持ちさせることが可能です。
このようにセメント瓦の屋根塗装の際は耐久性と耐候性に優れた質の高い塗料を使用するようにしましょう。
4. セメント瓦の塗装の工程と期間
屋根塗装の際は”近隣トラブル”や”手抜き工事”を未然に回避するために、すべてを業者任せにせずに塗装工程について理解を深めておくことが大切です。
具体的にセメント瓦の塗装工程について解説します。
【工程1】足場の設置
足場は職人の安全を確保し、作業効率を高めるために必ず必要です。また、塗料や高圧洗浄水が近隣に飛散するのを防止するために足場に飛散防止ネットを取り付けるために、屋根塗装の際は必ず足場は必要になります。
「屋根の上で作業をするのに足場は必要なの」と足場の必要性を疑う方も少なくありませんが、屋根の昇り降りや、屋根からの転落を防止するために足場は必ず必要になります。
また、足場を設置する際はトラックが出入りしたり、足場を組み立てる際の騒音が発生するので事前にご近所へご挨拶をしておくことが重要です。
【工程2】高圧洗浄
高圧洗浄は屋根に堆積した汚れ(カビ・コケ・旧塗膜)などを高圧洗浄機でキレイに洗い流す工程です。
カビやコケなどの屋根に汚れが堆積した状態だと塗料が密着せずに施工不良の原因になります。
高圧洗浄で屋根をキレイに洗い流し、塗装の下地を整えるために高圧洗浄は必ず必要な工程です。
【工程3】下地の補修
”瓦の割れ”や高圧洗浄で取りきれなかった汚れをスクレーパーやマジックロンを使用して取り除く工程です。”瓦の劣化”や”旧塗膜”が残った状態で塗装をすると、不具合の原因になるために必ず必要な工程になります。
【工程4】下塗り
屋根塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3回の重ね塗りが行われます。その中で、下塗りは塗装面と塗料の密着性を高めるために下地処理として塗装されます。
セメント瓦の塗装はカチオン系シーラー、エポキシ系シーラー等を1〜2回まで塗装をします。
【工程5】中塗り・上塗り
シリコンやフッ素などお客様にご指定頂いたメインの塗料で塗装を行います。中塗り、上塗りの2回の重ね塗りを行います。
【工程6】足場の撤去
最終確認を行い、手直しが無かったら足場を撤去して屋根塗装は完了です。
5.セメント瓦の塗装の注意点
セメント瓦の塗装には施工不良に繋がりやすいポイントがいくつかあります。セメント瓦の塗装で施工不良に発展させないために理解しておくべき、ポイントについて解説します。
5-1.モニエル瓦ではないことを確認する
モニエル瓦ではないことを確認することが重要です。
モニエル瓦とセメント瓦は形状は似ていますが塗装方法が異なるために取り違えて塗装をすると施工不良の原因になる。
モニエル瓦にはスラリー層と呼ばれる旧塗膜があり、このスラリー層をしっかりと高圧洗浄で除去する必要があります。
万が一、セメント瓦とモニエル瓦を取り違えて塗装をしてしまうと「塗装後、スグに塗料が剥がれる」などの施工不良が発生します。
セメント瓦の塗装の際は、モニエル瓦ではないことを確認するようにしましょう。
5-2.外壁塗装とセットで行う
外壁塗装と屋根塗装をセットで行うことで費用対効果の高い屋根塗装を実現できる。
なぜなら、足場を有効活用できるから。
外壁塗装と屋根塗装を別々に行う場合、その都度足場を設置しなければならず、2回分の足場費用が発生します。一方で、外壁塗装と屋根塗装を一緒に行うことで、足場を有効活用できるために、足場費用を節約することができます。
このように外壁塗装と屋根塗装をセットで行うことで、足場費用を節約できるので屋根塗装の際は、外壁塗装も検討することが重要です。
5-3.DIYでの塗装はNG
基本的に屋根塗装をDIYで行うのはオススメできません。
なぜなら、施工不良を起こす可能性が高いからです。また、屋根塗装は高所作業となり転落の危険があるからです。
DIYで施工を行い、施工後スグに塗装が剥がれてしまった場合、手直しすることはできません。DIYでの施工で施工不良を起こした際は、再塗装を行うことができないため、屋根の葺き替えが必要になります。
このようにDIYでの塗装は転落の危険があり、屋根自体をダメにしてしまう恐れがあるので、DIYで行わないようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?セメント瓦の塗装についてご理解頂けたかと思います。
セメント瓦は現在製造が中止されており、現在普及しているセメント瓦も築後30年〜40年が経過しており塗装ではメンテナンスできない屋根も多いです。
そのため、セメント瓦の塗装は専門業者にしっかりと現地調査をしてもらい、状態をしっかりと確認した上で行うようにしましょう。
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