外壁塗装工事中に雨が降った場合は、塗装工事を行うことが出来ません。
基本的に、塗装工事は「接着させる作業」を中心としています。
- 塗料を塗装面に接着させる
- 養生※テープは接着して固定させる
- コーキング※は接着して固める
など、施工箇所が乾燥していることを前提としているので、仮に雨で濡れている、あるいは湿っている状態では、工事及び下準備も十分に行うことが出来ないのです。
また、雨が降っているにも関わらず、無理に工事を進めてしまうと、塗料の「浮き・剥がれ・ひび割れ」等の不具合を発生させてしまいますので、基本的に雨が降っている、あるいは雨が降ってきてしまった場合は、工事を一時的に中断させるのが原則です。
※養生とは…建築工事などで、破損防止や塗料の飛散を防ぐためのシート
※コーキングとは…気密性や防水性のために施工する隙間を目地材などで埋める作業のこと。または材料の名称。
1.雨の日の外壁塗装は完全NG
「なるべく早く工事を終わらせたい」と感じていても、雨が降っている場合は工事を中断させる必要があります。さらに、雨の日に限らず湿気が多い日も、塗装工事日には適しません。
では、雨の日の塗装工事が、完全NGな理由を順を追って見ていきましょう。
1-1.浮き・剥がれ・ひび割れ等の不具合が発生する
雨の日に塗装工事を行わない一番の理由は、湿気が原因で、塗料と外壁との間の密着不良が起きてしまうため「浮き・剥がれ・ひび割れ」が発生してしまうリスクが高まるからです。
基本的に塗装工事は「下塗り・中塗り・上塗り」と3度塗りを施します。その際のルールとして、塗るたびに十分な乾燥をし、塗料を硬化させることを必要としますが、雨が降っていると空気が湿気を帯びてしまっているため、十分な乾燥が得られません。重ね塗りが出来る程に乾燥するのは施工してから数時間〜翌日となっていますが、雨が降っていたり、湿度が高かったりすると、より多く乾燥時間を設けなければなりません。
これらの理由に伴い、塗料メーカーでも外壁塗装を行う上で、避けるべき気象条件として注意事項が記されています。
雨の日に無理に塗装工事を行うと、不具合が発生することはもちろん、乾燥時間を多く取らなければならないため、結果的に一時中断したときよりも工事期間が長くなる可能性もあります。一方、外壁塗装に適した気象条件は【気温20℃、湿度65%】が標準的な施工条件と言えます。湿度が高すぎると施工に向いていないとご紹介しましたが、空気中がひどく乾燥しすぎていたりしても、塗っている最中に塗料が乾いてしまうため、適度な気温と湿度を必須とします。
1-2.塗料の本来の耐久性が失われる
塗料に雨が含まれてしまうと、塗料が持っている本来の耐久性や効果が発揮されません。
そもそも、塗装工事の塗料は、希釈(きしゃく)と言い、原液(合成樹脂)を水やシンナーと混ぜて使用するのが一般的です。どの塗料もメーカーによって規定されている希釈率を守って使用しなければ、塗料の耐久性が著しく低下してしまいます。これは塗料に雨が含まれてしまった場合も同じことが言えます。塗料が雨で薄まることで、従来よりも長持ちしないのは勿論、住宅を守る役割としての効果も満足に発揮されませんので、雨の日の塗装工事はお勧めできません。
1-3.美観が手に入らない
塗装を施している最中に雨が降っていると付着させた塗料が雨に打たれ、まだら模様が残る、あるいは、雨によって塗料が流れ出してしまうことで、いびつな模様が残ります。また、塗料自体にも雨水が混ざることで塗料の色も薄くなります。このような状態ですと、仮に外壁塗装が完了し仕上がりを見ても、イメージしている景観は期待できないでしょう。このように、雨の日の外壁塗装は施工不良に繋がりやすいリスクが高まりますので、適切な判断が必要不可欠です。
2.雨が降りそうな場合の適切な対処法
天気は完璧に予想することは出来ません。仮に曇りの日などは、どのような判断にするか難しいです。率直に言うと、雨が降りそうな天気の場合も塗装工事は避けましょう。理由は、前章でもご紹介した通り、雨が降ってから起こるリスクが高いからです。
天気の判断に不安がある場合は、業者側と相談しましょう。業者側も仕事上、天気予報のチェックを怠りません。その時点では晴れていても、雨が降る可能性が高い時は工事を中断する可能性もありますので、覚えておきましょう。
3.本当に雨が降ってしまった場合の対処法
突然雨が降ってきてしまった場合は、もちろん途中作業でも早めに中止します。雨の量や強さにもよりますが、仮に途中まで塗っていた箇所に雨による不備が見られた場合は、次の工事時に塗り直しをしてもらいましょう。ほとんどの業者の場合は、率先して塗り直しをしますが、稀にそう言った対応をしてくれない業者もいますので、きちんと伝えることが大切です。もちろん、この際の追加費用はかかりません。
また、工事後に雨が降った場合ですが、塗装後から雨が降るまでの時間によって対処方法が異なりますので、下記をご覧ください。
注意して頂きたいのが、1番上の指触乾燥の時点で雨が降ってしまった場合です。この時点で雨が降ってしまうと、浮き・剥がれ・ひび割れ等の不具合の発生や塗料の耐久性が失われる、または景観が綺麗に仕上がらないと言ったリスクが高まります。雨によって塗料が流れてしまっているので、塗り直しをしてもらうなど、しっかりと業者に対応してもらいましょう。その他の乾燥状態の時に雨が降ってしまっても特に問題はありませんので安心して良いでしょう。
4.外壁塗装の雨に関するよくある質問
4-1.Q:「雨が降っても大丈夫」と説明されたけど大丈夫?
A:基本的に、雨が降っている時の外壁塗装工事は中止する必要があります。
しかし、外壁塗装工事には、塗装工事以外にも行わなければならない工程があり、工程によっては、天気関係なく施せる作業があります。
ただし、下記の内容以外の工程を行っている業者がいたら、必ず伝えましょう。
①足場の組み立て
外壁塗装の下準備として行う足場の組み立ては、濡れても特に問題はありませんので、天気関係なく行う業者が多いです。
②高圧洗浄
高圧洗浄とは、塗装を施す前に旧塗料や家に付着した汚れを洗い流す作業のことを言いますが、大量の水を使用するため、天気に対して重要視する作業ではありません。
③【養生】は箇所によって注意が必要
養生とは、塗装工事の際に塗料の飛散を防ぐため、塗装しない物をガードするネットのようなものを指します。こちらも基本的に天気を関係しない工程として、ほとんどの業者は行いますが、正直あまりおすすめは出来ません。養生はテープによって貼り付けますが、仮に付着させる物に湿気が帯びていますと、テープの粘着が弱まってしまいます。仮に塗料が飛散したときに、テープが剥がれてしまっていた等のことが起これば、通常塗る予定のなかった箇所、または物に塗料が付着してしまったなどのトラブルに繋がってしまいます。気になる方は、事前に業者側に伝えるようにしましょう。
4-2.Q:雨が降った場合どのくらい工期が延びる?
A:雨が降った場合、中止になった日数分工期が延びます。
通常、外壁塗装の工事期間は10日程かかります。しかし、雨が降るなど悪天候の場合は、工事を一時中断しなければなりません。ですので、仮に雨で3日中止になった場合は、完了予定日から3日延びると考えましょう。
【工程表:延期なし】
【工程表:延期3日】
4-3.Q:工期が延びた場合は追加料金が発生する?
A:悪天候による工事の延期に関して追加料金が発生することはありません。
業者側は、急な悪天候も視野に入れてスケジュールを組みますので、天候によっての延期は予想範囲以内となり大きな問題にはなりません。万が一、天候を理由にして追加料金が発生する業者は、絶対にやめましょう。
4-4.Q:雨が降っているのに作業をやめてくれない場合はどうするべき?
A:雨でも進められる工程は、足場の組み立て、高圧洗浄、養生(※4-1.③を参照)です。
これ以外の工程を無理に進めている業者には一刻も早く辞めて欲しい旨を伝えましょう。さらに、伝えたにも関わらず適当な言い訳をして作業をやめない業者は、悪徳業者の恐れがありますので注意が必要です。
4-5.Q:そもそも外壁塗装をするべき時期はいつ?
A:外壁塗装はオールシーズン行えますが、一番人気のある季節は【秋】です。
その次に人気なのが【春】で、両季節とも過ごしやすい季節であることが共通しています。さらに、外壁塗装が適している気象として【気温20℃、湿度65%】が標準的な施工条件と言うこともあり、秋と春に施工を望む方が多いです。
下記の記事は、外壁塗装の工事期間についての詳細が書かれていますので、併せて読んでみて下さい。
【外壁塗装の工程から学ぼう!ストレスフリーに工事期間を過ごす方法】
5.まとめ
外壁塗装時の雨天についておさらいしてみましょう。
- 雨が降った場合、外壁塗装工事は中止するべき
- 雨が降っても足場の組み立て、高圧洗浄、養生は行える
- 雨で中止になった日数分工期が延び、そのための追加料金は発生しない
- 外壁塗装に適している時期として「秋・春」が人気の時期
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