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リシン吹き付けとは?3つの特徴と導入前に知るべき3つの注意点

「リシン吹き付け外壁ってどんな外壁なの?」そう疑問に感じてリシン吹き付けについて調べていませんか?

リシン吹き付けの外壁はヨーロピアンテイストのお洒落な住宅で非常に人気のある、外壁の仕上げ方法ですが、アスベスト(石綿)が含有されているとして非常に問題になったこともあります。

そのために、実際にリシン吹き付け外壁を導入する前に、アスベストによる危険性の有無や将来的なメンテナンス方法までを知っておくことが重要です。

そこで、この記事ではアスベストの危険性やリシン外壁の種類など、リシン吹き付け外壁を検討する際に知っておくべき基礎知識について解説します。

1.リシン吹き付けとは

リシン吹き付けとは、モルタル外壁に用いられる表面化粧材の一種です。

表面化粧材というと分かりづらいかもしれませんが、モルタル外壁の模様と思ってもらうとイメージしやすいと思います。

そもそも、下記の図のようにモルタル外壁には「リシン吹き付け」を始め、「スタッコ」、「吹き付け工法」など様々な仕上げ方法があります。

その中で、”リシン吹き付け”は、セメントやアクリル、顔料、破石配合物(骨材)を混ぜ合わせた材料を、リシンガンと呼ばれる専用のスプレーで外壁の表面に吹き付ける表面仕上げです。

そのために、ザラザラとした土壁のような仕上がりになるのが特徴です。

出典:http://satoutosoten.com/tosoumenu-redecoration.html

リシン吹き付けは施工単価が安いことと施工が簡単なことから、モルタル外壁の新築住宅で幅広く使用されていますが、その歴史は古く、1960年~80年代にかけてモルタル外壁の標準仕上げ材として広く普及していました。

そのために、モルタル外壁の仕上げ材には「スタッコ」や「吹き付け工法」など様々な種類がありますが、「リシン吹き付け」がモルタル外壁の標準的な表面仕上げ材という事前知識として覚えておいてください。

1-1.リシン仕上げの種類

リシン仕上げには「リシン吹き付け」の他に「リシン掻き落とし」と呼ばれる表面仕上げがあります。

”掻き落とし”と”吹き付け”では表面の仕上がりも、施工単価も異なるために、混同しないように注意が必要です。

それでは、リシン”吹き付け”と”掻き落とし”の違いについて見ていきましょう。

1-1-1.リシン吹き付け

出典:http://nurikaemasu.com/kakaku.html

モルタル外壁の最も一般的な表面仕上げ方法で、最も一般的な施工方法で、「リシンガン」と呼ばれるスプレーを用いて外壁に吹き付ける手法です。

施工が簡単かつ、素材自体が安価で、外壁材としてのコストパフォーマンスが高いために、新築のモルタル外壁の標準的な表面仕上げ材として幅広く導入されています。

土壁のような落ち着いた印象になるために、ヨーロピアンテイストの可愛い外観や、木造の和風住宅には最適な仕上げ材です。

弾性リシン吹き付け

リシン吹き付け仕上げは、表面が硬くクラック(ひび割れ)が入りやすいことが最大の欠点ですが、現在では、弾性リシンと呼ばれる、クラックに強いリシン材も普及しています。

そもそも、リシンはアクリル樹脂を顔料(吹き付ける塗料)に使用しており、アクリル製品をイメージしてもらうと分かりやすいのですが、硬く割れやすいのが特徴です。

その中で、従来のアクリル樹脂に伸縮性を持たせ、クラックに耐性を持たせたものが弾性リシンです。そのために外壁のクラックが心配な方は、弾性リシンも含めて検討するようにしましょう。

1-1-2.リシン掻き落とし

出典:http://satoutosoten.com/tosoumenu-redecoration.html

リシン掻き落としは、リシン材を外壁に塗りつけて、リシン材が硬化する前に剣山(ケンザン)やワイヤーブラシなどで引っ掻く仕上げ方法です。

リシン吹き付け仕上げよりも、繊細で柔らかく、深みのある仕上がりになるのが特徴です。外壁に高級感を持たせたい場合にオススメの仕上げ方法です。

1-2.リシン吹き付けの施工単価

仕上げ材 施工単価/㎡ 参考価格/100㎡
リシン吹き付け ¥1,000 ¥100,000
弾性リシン吹き付け ¥1,200 ¥120,000
リシン掻き落とし ¥1,900 ¥190,000
リシン掻き落とし(櫛引き) ¥3,650 ¥365,000

”リシン掻き落とし”はリシン吹き付けを行った後に、さらに職人の手で表面仕上げを行うことから一般的な”リシン吹き付け”と比べて、施工単価が約2倍ほど高くなります。

これはモルタル外壁全般に言えることですが、表面仕上げ方法によって、工数が異なり単価が不透明になりがちなので、見積もりの際はしっかりと施工単価と工数をそれぞれ確認するようにしましょう。

2.リシン吹き付け外壁の特徴

2-1.リシン吹き付けのメリット

2-1-1.初期費用が安い

リシン吹き付けはモルタルの仕上げ材の中で最も価格が安いのが特徴です。そのために、新築住宅など、初期費用を抑えたい場合はリシン吹き付けがオススメです。

2-1-1.外壁(躯体)の保存性に優れる

リシン吹き付けはモルタルの表面仕上げ材の中でも、通気性に優れているのが特徴です。

基本的にモルタル外壁の住宅は木造が多く、住宅の躯体(外壁の内部)も木材で建築されています。
その中で、外壁の、通気性が低いと外気の内部に水が止まり、木材を腐食させる原因となります。
そのために、モルタル外壁の多くが、外壁内部に防水シートを入れた上で、表面仕上げとして、通気性に優れたリシン吹き付けで施工されるようになりました。

このようにリシン吹き付けは外壁の通気性を確保できることから、外壁の内部構造の保存性を向上させることができます。

2-1-2.高級感や重厚感のある外観を演出

リシン吹き付けは、土壁のような仕上がりになることから、重厚感を演出することができます。そのために、和風住宅で非常に人気があります。

2-2.リシン吹き付けのデメリット

2-2-1.ひび割れが入りやすい

リシン吹き付けの最大のデメリットはクラック(ひび割れ)が入りやすく、他の仕上げ材と比べて、耐用年数が短いことです。

これは、リシン吹き付けで使用されるアクリル樹脂がひび割れを起こしやすい素材であることが根本な原因です。構造的には下地の割れに塗膜が引っ張れるような形でひび割れが発生します。

しかし、近年ではひび割れに対して、伸縮性を持つ”弾性リシン”などがあるために、通常のリシンで心配な場合は弾性リシンを検討するようにしましょう。

2-2-1.汚れやすい

リシンはザラザラとした凹凸のある表面仕上げのために、他の表面仕上げ方法と比べて汚れやすいのが特徴です。外壁が汚れてくると、カビやコケが繁殖するようになります。

このような悪循環がきっかけでリシン吹き付けの外壁は、他の表面仕上げ方法と比べて耐用年数が短いのがデメリットです。

リシン吹き付けの具体的な塗装目安は下記の表をご覧ください。

3.リシン吹き付けのメンテナンス方法

リシン吹き付け外壁は8年~10年を目安にクラックの発生、カビ・コケの状況を見ながら外壁塗装を行う必要があります。

特に、ひび割れは、0.3mmほどのヘアークラック(細いひび割れ)あれば問題はありませんが、1mmほどのクラックの場合、クラックの箇所から外壁の内部に水が侵入するようになるので、メンテナンスが必要です。

その際は、外壁のひび割れをしっかりと修復した上で、塗装を行うことが住宅の寿命を最大化させる秘訣です。

それでは、まずはリシン吹き付け外壁の劣化症状について段階別に解説します。

3-1.リシン吹き付けの塗装が必要な劣化症状

3-1-1.ひび割れ(クラック)

出典:http://musthomes.co.jp/wp/wp-content/uploads/2017/05/IMG_7175.jpg

リシン吹き付けはひび割れが発生しやすいのが特徴で、5年~8年ほどで必ず数カ所はひび割れが発生します。特に、窓サッシとの結合部分などはクラックが発生しやすく、そこから水が入り込むこともあるので注意が必要です。

小さなクラック(ひび割れ)程度の場合、早急に塗装をする必要はありませんが、クラックの溝が1mmを超える場合、外壁の内部に水が侵入し、雨漏りに発展するので早急に外壁塗装を行う必要があります。

3-1-2.チョーキング現象

出典:http://gaiheki-naturalstage.com/works/16328/

チョーキング現象とは外壁を手で擦ると手に白い粉がつく外壁の劣化症状です。

チョーキング現象は塗料が長年紫外線にさらされることで劣化し、塗料の表面が粉状に劣化してしまうのが原因で発生します。

このチョーキング現象は塗料の劣化症状であり外壁を塗り替える最高のタイミングになります。

しかし、リシン吹き付け外壁の場合、チョーキング現象の発生が分かりづらく、素人の方は見落としてしまうケースも少なくありません。

そのために、リシン吹き付け外壁を手で触った際に、上記の画像のように手にうっすらと白い粉が付着するようであれば、チョーキング現象が発生しているので、一度、塗装業者に相談することをオススメします。

3-1-2.外壁のカビ・コケ

出典:http://yknshiraishi.blog.fc2.com/blog-category-4.html

リシン吹き付け外壁は汚れやすく、8年~10年ほどでカビやコケが発生するようになります。

そもそも、カビやコケは日陰や湿気の多いところに発生することから分かる通り、外壁の防水性能が著しく低下したサインになります。

そのまま、放置をすると外壁がスポンジのように水を吸収するようになるために、外壁の内部構造(ラス網)を腐食させてる原因となります。

そのまま、放置をしても不具合を招くだけなので早急に外壁塗装によるメンテナンスが必要です。

3-2.リシン吹き付けを塗装する際の注意点

現在、日本の住宅の7割が窯業系サイディングで施工されており、外壁材全体としてはリシン吹き付けは少数派です。

そのために、リシン吹き付けの外壁塗装に関する情報が少なく、業者の言いなりで外壁塗装を進めてしまう方も少なくはありません。

このような場合、工事の妥当性を判断することができないために、思わぬ施工不良や損害を被ってしまう可能性があります。

そこで、ここからはリシン吹き付け外壁を塗装する際の注意点について解説します。

3-2-1.下塗り材の数量は確実に確認する

通常、外壁塗装は下塗り、中塗り、上塗りの3回の重ね塗りを行いますが、リシン吹き付けの外壁で最も注意するべきポイントは、1回目の塗装である「下塗り」の塗料の消費量が多いということです。

そもそも、下塗りは、メインの塗料を使用する中塗りと上塗りの密着を良くするために塗られる塗料です。

これは、リシン吹き付けの凹凸に合わせて、塗料を塗装するために、平面を塗装する場合よりも塗装面積が増えるためです。

具体的に塗装面積が120㎡(25坪~30坪)の住宅の場合でサイディングを下塗りする際は1缶~2缶ほどしか使用しませんが、これがモルタルのリシン吹き付け外壁になると、2缶~4缶(1.8倍)ほど使用します。

また、リシン吹き付けの塗装は下塗り材の使用量が増えても、下塗り材の単価が安価なので価格差はほとんど生じません。サイディング外壁の下塗りの施工単価と同じく900円~1200ほどが相場です。

なので、リシン吹き付け外壁で塗料の使用量が増えたからといって、施工単価が著しく高くなるこということはありません。

そのために、リシン吹き付け外壁の塗装の際は、見積もり段階で下塗り塗料の使用量と、施工単価を確認することが重要です。

リシン吹き付けの下塗り材にはいくつか種類があるので、具体的な下塗り材の種類と使用用途について下記の表にまとめました。

下塗り材の種類 施工単価/㎡ 主な用途
シーラー ¥600 塗料との密着を良くするために使用される。
(微弾性)フィラー ¥900 塗装面を均す(調整)するために使用される。
サーフェサー 薄付け仕上げ:¥900
厚付け仕上げ:¥1,500
下地への塗料の吸い込みを無くし、塗膜を均一に形成するために使用される。
プライマー ¥750 基本的にはシーラーと同じだが、錆止めなど塗膜に付加価値をもたらすために使用される。リシン吹き付けではほとんど使用されない。

3-2-2.リシン吹き付け外壁は艶なし”が基本

モルタルのリシン吹き付け外壁は土壁のようなマットでシンプルな印象を演出することから、ヨーロピアンテイストの住宅などで非常に人気が高いです。

そのために、外壁塗装をする際は、お家のデザイン性を踏まえて塗料を選択する必要があります。

その中で、塗料の種類には「艶あり」と「艶なし」がありますが、リシン吹き付け外壁の場合、「艶なし」か「3分艶」の塗料を選ぶと新築時と同じような風合いになります。

業者によっては”艶あり”塗料の方が、防汚性に優れているために、”艶あり”を提案されることがあります。

しかし、リシン吹き付け外壁に艶を出してしまうと「いかにも、塗装をしたような」安っぽい印象を与える事例が多いので、塗料を選ぶ際は、「艶なし」か「3分艶」の塗料を選ぶと美観的に相性が良いのでオススメです。

出典:http://www.hanamaru-r.co.jp/350/001/

3-2-3.ひび割れに追随する弾性塗料を使用する

リシン吹き付けはモルタル外壁に施工されることが多いですが、このモルタル外壁の最大の弱点はひび割れ(クラック)です。

しかし、弾性塗料と呼ばれる伸縮性に優れた塗料を使用することで、ひび割れのリスクを低減することができます。

出典:http://astec-japan.co.jp/feature/pure-acrylic.html

上記の画像は弾性塗料と通常の塗料を比較したものですが、塗料がゴムのように伸縮することで、ひび割れの隙間を塞いでいるのが分かると思います。

このようにリシン吹き付け外壁はもちろん、モルタル外壁の塗装はひび割れに対する耐性を持たすために弾性塗料で塗装をすると雨漏りのリスクを低減することができます。

モルタル外壁に最適な弾性塗料は下記の通りです。

ニッペ DANシリコンセラ

カタログ→https://www.nipponpaint.co.jp/biz1/building/products/ctlg/prd_59.pdf

エスケー化研 セラミクリーン

カタログ→http://www.sk-kaken.co.jp/products/data/pdf/ceramiclean.pdf

エスケー化研 ニュートップレスクリーン

カタログ→http://www.sk-kaken.co.jp/products/data/pdf/series/dansei/dansei_3.pdf

アステックペイント EC-100PCM

出典:http://astec-japan.co.jp/

3-1-3.リシン吹き付けのアスベスト問題

突然、自宅に訪問してきたリフォーム会社の営業マンに「この外壁はアスベストが含有されていて危険です!」、「外壁塗装が必要です!」と指摘されることがあります。

住宅の建材に詳しくない一般の方は、不安に感じるかもしれませんが、結論からお伝えすると、リシン吹き付け外壁はアスベストの心配はいりません。

現在、日本建築仕上材工業会の会員会社で製造・販売されている仕上塗材や下地調整塗材には、アスベスト(石綿)は全く使用されておりません。

しかし、過去の製品にはアスベストが使用されていたこともありますので、当工業会では会員会社にアンケート調査を実施し、情報を公開しています。

仕上塗材や下地調整塗材に用いられていたアスベストは、添加量も少なくセメントや合成樹脂などの結合材で固められていますので、通常の環境下でアスベスト粉じんが飛散することはない(非飛散性)と考えています。

引用元:日本建築仕上材工業会

仕上塗材・下地調整塗材に使用されていたアスベストのほとんどは白石綿(クリソタイル)で、ごく一部の製品に茶石綿(アモサイト)が使用されていました。ただし、最も発がん性が高いとされる青石綿(クロシドライト)については、使用実績がありません。

引用元:日本建築仕上材工業会

上記の文章は”日本建築仕上材工業会”のホームページで発表されている「アスベスト含有塗材情報」ですが、現在の仕上塗材にはアスベストは全く使用していないとしています。

また、過去に製造された仕上塗材に於いても、発がん性の高い青石綿(クロシドライト)については、使用実績がなく、通常の環境下でアスベスト粉じんが飛散することはない(非飛散性)としています。

そのために、訪問販売の営業マンや、外壁塗装の現地調査の際に、外壁のアスベストについて指摘されたら、絶対に即決はせずに、数社に現地調査を依頼して、その妥当性を確認することが重要です。

まとめ

いかがでしたか?リシン吹き付け外壁についてご理解いただけたかと思います。

本文中でもお伝えしましたが、リシン吹き付けはモルタル外壁の標準的な仕上げ材として非常に人気のある塗料です。

しかし、リシン吹き付けはひび割れが起こりやすいために、8年~10年を目安に外壁塗装を行う必要があります。

その際は、”3-2.リシン吹き付けを塗装する際の注意点”でお伝えした内容を踏まえて塗装をすると外壁の寿命を最大化することができので、ぜひ参考にしてみてください。

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