外壁のひび割れに気づき、「このままにしておいてもよいのか?」とお悩みになっている方も多いのではないでしょうか?
ひび割れの度合いに関わらず、塗装を勧めてくる業者がいます。いきなりそんな指摘を受けたら早急に直さなければならないのかと動揺しますよね?ですが、ひび割れには様々な種類があり、中には放っておいても大丈夫なものもあります。
そこで今回は外壁のひび割れについてまとめました。早急に対処しなければならないひび割れから放置しておいても問題のないひび割れについて細かく説明しています。DIYで補修をしようと決めている方も、本当に補修作業が必要なのか、まずはこの記事を読んで確認してください。
目次
1.外壁ひび割れのDIY補修方法
基本的に複数のひび割れが発生していたらDIYでの補修は無理です。施工不良が原因の場合もあり、広がる可能性があるので業者に任せましょう。また、1~2箇所くらいの細いひび割れは補修の必要はなく、外壁塗装と同時の処置でよいでしょう。
ですが、次の外壁塗装まで期間が空いてしまう場合、心配なのは水の浸入です。まずはいったん応急処置として補修しましょう。あくまでも応急処置なので、ひび割れの補修は専門家に頼みましょう。
1-1.外壁ひび割れDIY補修に必要な道具
マスキングテープ
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マスキングテープは補修面以外が汚れないように養生するために使用します。
プライマー
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プライマーはシーリング材の接着をよくするための下塗り材です。シーリング材との相性があるので、シーリング材が指定しているものがあれば、それを使用しましょう。
シーリング材
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ひび割れを埋めるシーリング材は、後々のことを考えて、上から塗装ができる変性シリコン系をオススメします。変性シリコンと比較される外壁シーリング材にウレタン系があります。ウレタン系は紫外線に弱いため、使用する場合は上から塗装をして保護しなければならず、工程を一つ増やしてしまうので、DIYではオススメしません。
刷毛
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ヘラ
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シーリング材を均すのに必要です。均す際は施工箇所に応じた形状のヘラを選ぶのが重要です。
1-2.外壁ひび割れDIY補修の手順
【工程1】ひび割れ部分周辺の洗浄
補修材がしっかりと接着するように、ひび割れ周辺のホコリやカビなどの汚れを落とします。ホースで水をかけてブラシなどで洗浄しましょう。
【工程2】マスキングテープ貼り
ひび割れ以外の箇所に補修材が付かないように、マスキングテープで養生します。
【工程3】プライマー塗布
刷毛を使用してプライマーを塗布します。シーリング材の接着力を高める効果があります。乾燥に4時間ほどかかるので、午前中に作業するとよいでしょう。
【工程4】シーリング材充填
ひび割れをシーリング材で埋めていきます。シーリング材を充填したらヘラで平にならしていきます。完全硬化まで8時間ほどかかるので、触らないようにしましょう。
【工程5】養生をはがす
マスキングテープは完全に固まってしまうと取れなくなってしまうので、固まる前に取りましょう。
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2.補修が必要のないひび割れ
ひび割れ幅が0.3mm以下で深さが0.5mmの細くて浅いひび割れは、そのままにしておいても建物に悪影響を及ぼすものではないので、基本的に早急な補修は必要ありません。この程度のひび割れならひびの深さも浅い場合が多く、建物内部への水の浸入の可能性が低いためです。
ひび割れの深さを正確に計るのは、素人では難しいですが、目安として、紙や名刺などを差し込んだ時にスッと入ったり、差し込めた部分が0.5mm以上であれば、構造にもひび割れが及んでいる可能性があります。その場合は、一度業者に見てもらうことをおススメします。
また、放置しておいてよいひび割れでも、地震や台風の後に広がってしまうことがあります。建物に影響が出そうなことが起こった後は、確認するようにしましょう。
3.外壁材ごとのひび割れの原因
2-1.モルタル外壁
モルタル外壁は必ずと言ってよいほど経年劣化によるひび割れが起こります。
これは、モルタルの性質が原因です。モルタルは固まる過程で含まれている水分が蒸発し体積が減少します。これを乾燥収縮と言い、収縮時に鉄筋や柱などの他の部材に引っ張られることによりひび割れが生じ、塗膜表面にまでひび割れが入ってしまいます。
また、乾燥収縮の動きに塗膜が追従できない場合に、塗膜にのみ入ることもあります。なお、乾燥収縮は2年ほどで収まるとされています。
2-2.サイディング外壁
サイディング外壁の中で一番普及している窯業系サイディングは吸水性が高いです。吸い込んだ雨水により膨張と収縮を繰り返し、少しずつ変形していき、その過程でひび割れが生じてしまいます。
その動きを抑える役割があるシーリングも経年劣化によりひび割れや痩せが発生するため、しっかりとメンテナンスをしないとひび割れを抑えることができません。サイディングは外壁だけでなく、シーリングのひび割れにも注意が必要です。
また、サイディングに留められている釘の周辺にひび割れが生じていたら、釘の留め方に問題がある可能性が高いです。
2-3.コンクリート・ALCパネル
ALCパネルは比較的ひび割れが入りづらい外壁材ですが、コンクリート外壁は、ひび割れが入りやすい外壁材です。
コンクリート外壁は、気温などの影響を受けやすいため、乾燥収縮や凍結融解や温度変化など様々な原因が考えられます。ひび割れを直す際は、原因に沿った対策をしなければならないので、専門知識を持った業者でないと特定するのが難しいです。
4.ひび割れの種類と補修工法
外壁に生じたひび割れがどの程度なのか、素人ではなかなか判断できません。まだ大丈夫だと思っていたひび割れが、建物に深刻なダメージを与えかねないレベルだったということも考えられます。
外壁のひび割れを発見したら、まずは業者に相談しましょう。ひび割れの程度によって、以下のような適切な方法で補修を行うので、専門業者にお任せすることをオススメします。
業者に相談する際にひび割れの種類を理解したうえで相談すると、よりスムーズに話し合えます。まずは、ひび割れの種類について説明します。
4-1.外壁のひび割れ種類について
外壁のひび割れは以下の4種類があります。それぞれ見ていきましょう。
ひび割れの種類 | 特徴 |
---|---|
ヘアークラック | ヘアークラックは幅が0.2~0.3mm以下と細く、経年劣化などで塗膜にのみに生じるひび割れです。 この程度のひび割れは、雨漏りに繋がる心配も少ないので、早急な対応は必要ありません。 原因が施工不良によるものであれば、塗装して数年でひび割れが生じます。そのままにしておくと広がっていく恐れがあるので、業者に見てもらうようにしましょう。 |
乾燥クラック | 外壁材の乾燥収縮によって生じるひび割れです。 乾燥クラックはヘアークラックと同様に幅が細いのが特徴で、早急に対処する必要はありません。 塗り替えと同時に補修をお願いしましょう。 |
構造クラック | 構造クラックは、幅が0.5mm以上で深さが0.5mm以上のひび割れのことです。 建物の構造部の欠陥や、外壁の凍結と融解の繰り返しや、地震の影響などによって生じると考えられます。 構造クラックは外壁材や構造までひび割れが生じてしまっているため、水の浸入経路になったり、地震などでさらに広がってしまったりして、建物の強度を低下させてしまう恐れがあり危険です。 放っておくと外壁の剥落まで進行してしまう可能性もあるので、早急に補修をする必要があります。 |
縁切りクラック | 縁切りクラックは、モルタルやコンクリートなどの壁を一気に成形せずに途中で中断し、塗り継ぎをした部分に生じるものです。 ひび割れの程度によりますが、構造クラックと同様に早急に補修をする必要があります。 |
4-2.ひび割れの補修工法
次にひび割れの補修工法について説明します。業者はひび割れの状態によって工法を決定します。
ダイレクトシール工法
ダイレクトシール工法は、専用器具で弾性シーリング材や弾性エポキシ樹脂をひび割れに注入して塞ぐ工法です。
ひび割れが0.3~0.5mm以上で構造に影響が無いひび割れの雨水の浸入を防ぐ目的で行われます。
費用は¥1,500/m~です。
Uカットシール工法
Uカットシール工法は、奥までしっかりとシーリング材を注入するために、専用器具でひび割れ部分をU字にカットする工法です。
ひび割れが0.3mm~0.5mm以上で、漏水やひび割れの動きが確認できたときに行われます。
費用は¥1,800/m~です。
自動式低圧樹脂注入工法
自動式低圧樹脂注入工法は、ひび割れに低圧でエポキシ樹脂を奥深くまで注入する方法です。
ひび割れが0.3mm~0.5mm以上で、構造に悪影響を及ぼすと判断されたときに行われます。
費用は¥4,000/m~です。
まとめ
いかがでしたか?
外壁のひび割れは、モルタルやコンクリートなどの外壁材によっては必ず入ってしまうものです。ひび割れを発見しても焦らずに、まずはひび割れの状態がどの程度のものなのか確認しましょう。そして、家の耐久性を低下させるようなひび割れの恐れがある場合は、自分で何とかしようとせずに、早急に専門業者に補修の依頼をすることが大切です。
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