「うちはまだ大きな劣化が見えないから大丈夫」と思っている方、本当ですか?
大切な住宅を少しでも長持ちさせたいとの考えはマイホームをお持ちの方になら誰にでもあると思います。
住宅には寿命があり、暮らしを守っている住宅の外壁や屋根は日々劣化しています。その劣化というものは目で見えてからでは遅く”大きな劣化症状が現れる前にメンテナンスをする”ことが最も好ましいのです。
外壁塗装をするかしないかの判断は、住宅の劣化状態を見て判断すると思います。大きな劣化がなければ、わざわざ高い費用をかけてまで、手間のかかる工事をする必要性が理解出来ないでしょう。
しかし、その必要性の本当の理由を理解できたとき「外壁塗装工事は高いからやりたくない」との思いは薄れると思います。
この記事では、外壁塗装が必要な本当の理由を、住宅の種類ごとにご紹介していきたいと思います。ご自宅がどの内容に当てはまるかを意識しながら見ていきましょう。
目次
1.外壁塗装の必要性
単刀直入に言いますと、外壁塗装は【絶対に必要】です。
これはどの住宅に関しても言えることで、塗り替えが必要ない住宅はないと断言できるでしょう。
1-1.外壁塗装が必要な本当の理由
外壁塗装の重要点を簡単に言えば【住宅の寿命を延ばすため】であり、寿命を延ばすことで一番大切なことは「定期的なメンテナンス」です。
住宅は目に見える症状がなくても外壁塗装をする必要があります。私たち人間も目に見える症状がなくても定期的に健康診断を行った方がいいとされているのと同様に、住宅も定期的な検査を行い、すでに傷んでしまっている箇所や、今後痛むであろう箇所を把握できていれば、予防対策が可能となり、重症な被害をもたらす前に食い止めることが出来るのです。
一般的に住宅は建て替えるまでの間に、2回〜3回塗り替えをした方がいいとされています。というのも、日本住宅は30年が平均寿命とし、その間にきちんと塗り替えなどのお手入れをしないと、この30年という寿命を持たせることが出来ません。一方、きちんとお手入れをすることによって、住宅を長持ちさせることが出来ますし、場合によっては平均寿命以上に住宅を長持ちさせ、守っていくことも可能となるのです。
では、どうして外壁塗装を行うことで住宅の寿命が伸びるのかを、次で解説していきたいと思います。
1-2.外壁塗装の決定的な役割
住宅は紫外線や雨風などの様々な問題から住人を守る役割を担っている反面、外壁や屋根は常に外気に晒されています。女性の方ですとイメージしやすいかもしれませんが、シミや日焼けから肌を守るように日焼け止めを塗るのと同じで、住宅もこうした外気から守るために塗料、つまり塗膜※によって住宅を【保護】しているのです。
※塗膜とは……塗料を塗って乾燥後に硬化した状態のこと
外壁塗装を行うことで住宅表面のガードを強化し、劣化を妨げ、水の侵入を防ぐことで住宅の寿命を延ばします。
1-3.住宅の寿命を延ばすのは防水対策が鍵
住宅の外壁材には塗料を付着させているのが一般的で、その塗料の役割には外観をキレイに見せることや、断熱性能を発揮させる、外壁を汚れにくくするなど様々な効果があります。しかし、その他の性能劣化に繋がる中心として【防水対策】が大切な目的なのです。
住宅で最も心配な「雨漏り問題」ですが、その原因は屋根の劣化からくるものだけでなく、外壁の劣化によっても起こりうる原因となります。というのも「水」の存在は外壁の劣化に深く関わっているからです。
外壁塗装によって住宅を保護しているとお話ししましたが、これは塗膜によって住宅を防水加工しているために言えることで、長い間外気に触れ続けた塗膜は当然劣化します。この劣化したままの塗膜は防水機能が低下しているために、水から住宅を保護することが出来ず、様々な劣化を進行させてしまうのです。
1-4.防水効果の低下からくるトラブル
⑴カビや白蟻被害
塗膜が劣化し防水効果が低下すると、水を弾く力が減少し外壁に水が溜まってしまいます。そうなると断熱材や木材が湿気し、カビの発生・白蟻被害といった原因に繋がってしまいます。カビが発生すると美観が崩れるほか、人体にまで影響を及ぼすことがあります。外壁に出来るカビには約50種類ほどあると言われ、その中にはアレルギー・喘息といった症状を発症させてしまうカビもあります。
また、よく耳にする白蟻被害ですが、白蟻は木材の表面を残しつつ、内部を食べ進めていく習性があります。その為、被害に遭っていると気づきにくく、耐震強度を施している住宅も「弱い住宅」に知らない間に変してしまっているのです。
⑵ゆがみやヒビ
外壁材には水を吸い込む力があり、湿気を含むと膨張し、逆に乾くと縮小してしまう性質があります。その膨縮の回数が重なると壁のヒビなどのトラブルが発生してしまうのです。そしてこのヒビは大きさによって侵入する水の量は変わりますが、実際に水が侵入することに変わりはありません。また、このヒビは現状維持することはありませんので、放っておくとどんどん大きくなってしまいます。
⑶住宅内部にまで及ぶ劣化
住宅には防水シートや防水材が備えられていますが、ヒビから侵入した水はあらゆる場所へと回っていくので、防水材や防水シートだけでは防ぐことが出来ないこともあります。そうなるとあい悪の場合、家の土台や基礎の部分にも水の影響を受けることになり、劣化の進行が早まってしまいます。
2.塗料の寿命や塗装の適切な時期
次に、外壁塗装で使用される主な塗料の種類と、塗料別に塗り替えの適正な時期を解説していきたいと思います。
2-1.塗料の種類と寿命
上記の表でシリコン系塗料がおすすめをご紹介していますが、その理由は耐久性・価格・性能など総合的に見て一番取り扱いやすい塗料で、戸建て住宅の塗り替え時には7割〜8割を占める普及率となっています。しかし、シリコン系塗料でも「単走弾性塗料」というものがあり、この塗料は耐久性が低いというデメリットを持っています。シリコン系塗料は10年持つと認識されている方が多いですが、種類にもよるので注意しましょう。
下記の表は普及率の高い代表的なシリコン塗料の製品名とメーカー名です。もし、シリコン系塗料を検討している方で、どのシリコン系塗料にすればいいのか迷っている方はぜひ参考にしてみて下さい。
塗料名 | メーカー名 |
---|---|
水性シリコンセラUV | 日本ペイント |
クリーンマイルドシリコン | エスケー化研 |
SKセラファイントップ | エスケー化研 |
セラMシリコン2 | 関西ペイント |
2-2.塗り替え時期
世間的にマイホームの塗り替え時期は「10年に1回」というのが定着しています。これは正直。絶対というわけではなく「10年に1回を目処に」と言った方が正しいでしょう。
これは塗料にも寿命があり、またその種類やお住いの周辺環境によっても塗り替えする適切な時期に変動があるからです。塩害地域ですと潮風の影響から塗料の劣化が早まりやすいと言われていて、また紫外線がよく当たる地域や、寒暖の差が激しい地域、雨が降りやすい地域などにも同様のことが言えます。
このように10年というのはあくまでも平均時期ということを覚えておき、ご自身のお住いの周辺環境にも意識してみて下さい。
2-3.初期症状を見逃さない
では、どのように塗装時期を判断すればいいのでしょうか?
前途でも述べましたが、外壁塗装の時期は住宅によって異なります。しかし、塗り替えが必要な住宅には共通した初期症状が見られますので、それさえ把握しておけばご自宅の適切な塗装時期の目安が見えてくるでしょう。
下記の表を元に、ご自身の住宅にはどのような症状が見られるのかチェックしてみましょう。
⑴艶がない・変色・色褪せ
塗料には樹脂という成分が含まれていて、その樹脂は経年するとともに劣化し、それにより塗料の色が変色し艶や光沢がなくなってしまいます。また、変色して見えるのは、塗膜の表面が紫外線などの影響から塗料に含まれる樹脂や顔料が分解してしまっているときの現象です。
これらの段階は初期症状のなかで最も初期レベルになります。
⑵チョーキング
この現象が一番わかりやすいザインで、壁(塗装)の表面を指で擦ると白い粉のようなものが指に付着します。これは顔料や樹脂が分解したときに起こる現象で、艶や変色の段階よりももう一段階進行した状態です。住宅に負担をかける前に行えるので、この状態を目安にし、外壁塗装を行うのが一番理想的と言われています。
⑶カビ・コケ・藻
外壁塗装には防カビや防藻剤が入っているのが普通で、これらの症状が見られた場合は、その防カビや防藻剤の効力が弱まっている、または効果が消えている印となります。この状態は外壁塗装の劣化状態を推し進めてしまうので、高圧洗浄で念入りに綺麗にした後に塗り替えを行います。
⑷クラック・ヘアクラック
クラックでしかも、3ミリ以上や横方向にクラックが入っている症状が見えてしまっていると、既に水が侵入している可能性が高いです。クラックはフィラー剤という下地調整材を使用してしっかりと補修します。
⑸塗膜の剥がれ・浮き
塗膜に付着する力がなくなったことを塗膜剥離といいます。原因は水分・紫外線・アルカリ・酸等を浴びすぎて塗膜の力がなくなってしまうのです。
塗装は下塗り・中塗り・上塗りの三段階で行いますが、この塗膜の剥がれを放っておくと広がるだけでなく、下層の塗膜にも影響を及ぼしてしまいます。
⑹シーリングの劣化
外壁塗装でいうシーリングとは主にサイディング壁に使用されています。これはサイディングを貼り付けて出来た繋ぎ目部分を埋める防水材のことを言います。
劣化したシーリング部分からも雨水などが侵入できる通路となってしまい、住宅を劣化させてしまいます。劣化したシーリングは取り払い、新しいシーリング剤を充填して補修します。
⑺サビ・欠損
どの外壁材でも欠損してしまうと早急な対応が求められます。また、サビが発生する理由は、塗膜の剥がれや、浮いてしまったときに素地※が露わになり腐食している証拠です。
※素地とは
外壁塗装や屋根塗装でいう素地とは、塗装するものがまだ塗装が施されていない露出してある表面のこと
サビの範囲が狭いからといって油断は出来ません。小さなサビでも腐食するとそのまま進行し、穴や欠損してしまうなどの重度な症状になり、取替え工事や大掛かりな工事となってしまいます。
まだサビだけの症状でしたら、ケレン作業と言ってサビを落とし、サビ止め〜上塗りといった軽度な工事で済みます。費用面で見ると、ケレン作業工事の平均単価が600円〜2000円/㎡なのに対し、張替え工事の平均単価は安くても3000円〜/㎡となります。
3.外壁材の種類と劣化症状例
次に外壁材の種類とその弱点をご紹介いたします。ご自宅の外壁材がどれなのか、またどのように出やすい症状が現れるのかを確認してみましょう。
窯業サイディング | 金属サイディング | モルタル |
---|---|---|
・シーリング劣化 ・ヒビ ・割れ・欠損 |
・サビ ・傷 |
・クラック ・剥がれ ・割れ・欠損 |
4.さいごに
いかがでしたでしょうか。少しでも外壁塗装がどうして必要なのかの具体的な理由を理解して頂けたでしょうか。
外壁塗装とは見た目に問題がないからと言ってやらなくていいわけではありません。また一度外壁塗装をしたからといって絶対に大丈夫というわけでもなく、外壁塗装工事はあくまでも「予防」であり、「補修」ではないことは必ず覚えておいて下さい。また、小さな症状でも見逃さす、迅速な行動こそが住宅を長持ちさせる一番の近道になります。
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