セメント瓦はもともと塗装が施されている瓦です。なぜかというと、セメント瓦自体には防水性や耐久性がないため、塗装で保護する必要があるからです。
しかし、直接紫外線が当たり続ける屋根の塗膜は、年数と共に傷んできます。塗膜の保護力がなくなったセメント瓦は、水分の吸収力が上がり、ボロボロになって脆くなってしまいます。
その結果、雨漏りや瓦の割れなどを引き起こし、大がかりな工事へと発展してしまいます。そうなる前に、定期的に再塗装をしてセメント瓦の寿命を延ばすようにしましょう。
そこで今回はセメント瓦の塗装についてまとめました。塗装行う最適な時期の見極め方を紹介しているので、ムダな費用をかけずに、塗装メンテナンスを行うことが可能になります。ぜひ参考にしてください。
目次
1.セメント瓦の塗装費用
セメント瓦の塗装は使用する塗料によって差が出ます。ここでは現在主流のシリコン塗料とフッ素塗料の2種類の概算金額(30坪)をご紹介します。
1-1.シリコン塗料の塗装費用
シリコン塗料の耐用年数は約10~13年です。
工程 | 単価 | 単位 | 計 |
---|---|---|---|
足場・飛散防止シート | ¥800 | ㎡ | ¥152,000 |
高圧洗浄 | ¥200 | ㎡ | ¥13,200 |
下塗り | ¥800 | ㎡ | ¥52,800 |
中塗り・上塗り | ¥1,600 | ㎡ | ¥105,600 |
縁切り | ¥450 | ㎡ | ¥29,700 |
【合計】 | ¥353,300 |
※縁切りとは
縁切りとは、塗料によって埋められてしまった瓦と瓦の繋ぎ目を切ったり、タスペーサーという器具を差し込んだりする作業のことです。この作業をしないと、入り込んだ雨水を逃がすことができなくなり、雨漏りの原因となってしまいます。
1-2.フッ素塗料の塗装費用
フッ素塗料の耐用年数は15~20年です。
工程 | 単価 | 単位 | 計 |
---|---|---|---|
足場・飛散防止シート | ¥800 | ㎡ | ¥152,000 |
高圧洗浄 | ¥200 | ㎡ | ¥13,200 |
下塗り | ¥800 | ㎡ | ¥52,800 |
中塗り・上塗り | ¥2,400 | ㎡ | ¥158,400 |
縁切り | ¥450 | ㎡ | ¥29,700 |
【合計】 | ¥406,100 |
2.セメント瓦の劣化症状と塗り替え時期
セメント瓦の塗り替え時期の目安は10年ごとです。
チョーキングという劣化症状が出始めたら塗装を行うべきベストタイミングです。しかし、屋根を触って確かめるのは難しいこともあります。なので、屋根が白っぽく色あせてきたら業者に依頼して、屋根の状態を見てもらいましょう。
また、日頃からきちんとメンテナンスをしている場合、セメント瓦自体の耐用年数は30年程度と言われています。
屋根を設置してから25年以上経っている場合は、塗装を施してもそんなに長くはもたない場合があります。今後、どのくらい住む予定なのかを踏まえ、一番費用対効果のある方法を業者と話し合うことをオススメします。
2-1.色あせ
出典:有限会社ナカヤマ彩工
色あせは紫外線によって塗料の組織が破壊され、塗膜が劣化していくために起こります。
色あせは劣化の初期症状であり、この段階で焦って塗装を行う必要はありませんが、塗膜の劣化が始まったというお知らせです。ツヤがなくて色あせて見えたら塗り替えの時期です。
2-2.チョーキング
チョーキングは塗膜が劣化し、塗料の成分である顔料(色の元となるもの)が表面に粉状に吹き出す症状のことです。塗装面を指でこすった時に白くなったらチョーキングが始まっている証拠です。
チョーキングは塗膜の劣化症状であり、屋根自体が劣化しているというわけではありませんが、塗膜が傷んでいるということは、屋根を保護する機能が衰えてきているということです。この状態のまま放置しておくと、屋根にまで被害が及んでしまう可能性が出てくるので、屋根の保護のために再塗装をしましょう。
2-3.カビ・苔
出典:有限会社サンカラー
カビや苔は、日の当たらない北側の面や湿気がこもりやすい場所に生じます。その他にも、塗膜の劣化により防水機能が低下して、水分を溜め込んでしまうということも考えられます。
水分が屋根内部に回ってしまうと屋根自体が傷んでしまうので、早急に再塗装をして防水力を高める必要があります。
2-4.塗膜の剥がれ
出典:有限会社ナカヤマ彩工
塗膜が劣化すると、屋根への付着力が失われていき、塗膜が剥がれてしまいます。
剥き出しになってザラザラとしたセメント瓦は、雨水や紫外線などの外的要因により傷んでいきます。傷みがひどくなると、塗装では対処できないほどになってしまうので、早急に再塗装をしましょう。
2-5.ズレ・欠け・割れ
ズレや欠けや割れが起こる原因は、地震や台風などといった自然現象や点検業者による踏み割れといった人的要因など様々です。これらの症状が出てしまうと、雨水を侵入させてしまい、雨漏りや防水シートや野地板の腐食に繋がってしまうので早急な対処が必要です。
この劣化症状は塗装では治せません。瓦の差し替えや補修などの方法になります。しかし、現在セメント瓦の生産量はものすごく少ないため、差し替え分が手に入らない可能性も高く、場合によっては屋根の葺き替え工事に発展することもあります。
【参考】セメント瓦工事の参考費用
瓦差し替え工事 | ¥400~¥500円/枚 |
瓦屋根葺き替え工事 | ¥950,000~/30坪 |
3.セメント瓦の塗装工程
施工不良を防ぎ、後々余計な費用を払わないためにも施主は塗装工程を把握しておきましょう。
それでは、セメント瓦の塗装工程を紹介します。
【工程1】高圧洗浄
出典:YouTube
セメント瓦に付着している苔やカビや古くなった塗膜の粉などを高圧洗浄で洗い流します。
しっかりと乾燥させないと次の工程に移ることはできません。
【工程2】下地調整
出典:YouTube
高圧洗浄で落としきれなかった塗膜や汚れなどをケレン作業で除去します。この工程をおろそかにすると、塗装後に不具合が起こりやすくなるため、とても重要な作業です。
また、瓦にひびや欠けなどがあれば補修や差し替えなどを行います。
【工程3】下塗り
出典:YouTube
塗膜を落としたセメント瓦は吸収力が高くなっています。仕上げ塗料の吸い込み防止と密着力を高めるために、シーラーやフィラーなどの下地調整材をたっぷり塗り込みます。瓦の状態によっては重ね塗りをする場合もあります。
【工程4】上塗り(2回)
出典:YouTube
仕上げ塗料を2回塗装して終了です。
まとめ
セメント瓦を使用する限り、塗装というメンテナンスは必ず行わなければなりません。
大がかりな工事に発展しないように、日頃から屋根を目視で確認するようにしましょう。
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