屋上防水の3つの種類を理解して適正工事を実現する工法別の費用相場

防水工事

屋上防水工事には様々な種類があり、施工費用と耐用年数を理解して、建物に応じた最適な工法を選択する必要があります。

不動産投資て物件を所有している方は、屋上の修繕費が将来の収益に直結するので、屋上防水工事の種類や工法を理解して費用対効果の高い防水工法でメンテナンスをすることが重要です。

そこで、この記事では建物に合わせた費用対効果の高い防水工法を選択するために、屋上防水工事の種類と費用相場について解説します。

この記事を読むだけで、費用対効果の高い屋上防水工事を行うための防水工事の基本を身につけられるようになるので、ぜひ参考にして頂ければと思います。

1.屋上防水工事の費用相場

防水工事の種類 ウレタン防水 シート防水(塩ビ) アスファルト防水(トーチ工法)
耐用年数(耐久性) 10年〜15年 13年〜20年 15年〜25年
施工単価 ¥4,000~¥7,000/㎡ ¥4,000~¥7,500/㎡ ¥5,000〜¥8,000/㎡
200㎡での参考価格 ¥1,400,000 ¥1,500,000 ¥1,600,000
1年あたりのコスト ¥93,000 ¥75,000 ¥64,000
対象施工面積 50㎡〜100㎡ 50㎡〜300㎡ 300㎡以上
対象施工箇所 全てに対応可能 屋上・床 屋上

屋上の防水工事は大きく分類すると「ウレタン防水」「シート防水(塩ビ)」「アスファルト防水」の3つの種類があります。

それぞれの防水工法に関する詳細は、”2.屋上防水工事の種類と工法”で具体的に解説しますが、防水工事の種類によって施工価格に大きな差はなく、戸建て住宅4つ分ほどの200㎡の屋上の防水工事は100万円〜180万円ほどが中心価格帯になります。

屋上の防水工法を検討する上で、重要な指標となるのが1年当たりのコストです。

マンションや収益物件の屋上防水工法で検討されるが多い、「ウレタン防水」と「シート防水(塩ビ)」を比較すると分かりやすいですが、ウレタン防水は施工単価は安いですが、耐用年数(耐久性)が低いために、1年当たりのコストが約9万円です。

一方で、シート防水(塩ビ)はウレタン防水と比べて、施工単価は高いですが、耐用年数が長いために、1年当たりのコストに換算すると約7万円と費用対効果が高いのが分かります。

このように屋上の防水工事は工事費用だけではなく、1年当たりのコスト換算して費用対効果を踏まえて工法を選択することで、将来的な収益を最大化させることができます。

だだし、費用対効果の高い塩ビによるシート防水ですが、突起箇所が複数あったりする場合は、施工するできません。また業者の技術レベルによっても施工できる工法が限定されることがあるので、防水工事を依頼する業者の選び方も重要です。

2.屋上防水工事の種類

防水工事の種類

屋上防水工事は、建物の大きさや「雨漏り」や「ひび割れ」などの劣化症状によって最適な工法が異なるために、防水工事の工法を検討する際は、防水工法の特徴を踏まえて建物の状況に応じた最適な工法を選択する必要があります。

例えば、シート防水(塩ビ)は防水シートを被せるの工法で、既存の防水層を撤去せずに施工が可能です。早期解決が求められるマンションやテナントなどの雨漏り修理に最適な工法になります。

また、道路の舗装などに使用されるアスファルトを使用するアスファルト防水は、耐久性が高く費用対効果の高い工法ですが、重い防水層を形成するために”木造住宅”や戸建て住宅の防水工事ではほどんど施工されていないのが現状です。

このように屋上防水は屋根の大きさや劣化症状によって最適な工法が異なるために、適切な工法を選択するためにも防水工事の工法について理解を深めておくことが重要です。

それでは、具体的に屋上防水工事の「ウレタン防水」「シート防水」「アスファルト防水」の3つの工法について解説します。

2-1.ウレタン防水

ウレタン防水
出典:カワノ建装

価格相場 ¥4,000〜¥7,000
工期 4日〜5日
耐用年数 通気緩衝工法:10年〜15年密着工法:5年〜10年
工法 ・通気緩衝工法
・密着工法
適した建物 ・基本的にどの箇所でもオススメ
・複雑な形状の建物にも施工できる
・貯水槽や室外機が多いところ
オススメできる人 密着工法:とにかく工事費用を安くしたい人
通気緩衝工法:コストパフォーマンスを重視する人
不向きな建物 ALC(軽量鉄骨)
※工期は80㎡〜100㎡の屋上の工期です。

ウレタン防水とは、低反発のマットレスなどに使用されている”ウレタン樹脂”によって防水層を形成する防水工法です。

主剤と呼ばれる塗料のような液体状のウレタン樹脂を流し込むことで防水層を形成するために、どんな形状の屋上でも施工が可能です。

価格も安価なために約60%(防水マイスターの施工実績による)の屋上防水がウレタン防水によって施工されています。

ウレタン防水には「密着工法」と「通気緩衝工法」の2つの種類がありますが、屋上防水工事では通気緩衝工法によるウレタン防水が一般的です。

ウレタン防水で施工不良を避けるために、2つの工法の違いについて解説します。

2-1-1.通気緩衝工法

ウレタン防水の通気緩衝工法
出典元:アズホーム

通気緩衝工法とは、裏側に通気溝が空いている通気シートを設置し、その上からウレタン樹脂を流しこむ工法で屋上防水において最も普及しているスタンダードな工法です。

通気緩衝工法は通気シートを設置して空気の通り道を確保することで、下地と防水層の隙間に水分が溜まることを改善した工法で、屋上の防水工事に最適な工法です。

通気緩衝工法によるウレタン防水は脱気装置が取り付けられ、防水層の内部を常に空気が循環している状態になっており、雨漏りが原因で建物の内部に水が侵入した場合でも水分を外に排出できるために、防水性能が安定しています。

このような理由から屋上の防水工事は通気緩衝工法によるウレタン防水が一般的です。

2-1-2.密着工法

ウレタン防水の密着工法
出典:プロタイムスリビング

密着工法とはウレタン樹脂を下地に直接流し込む工法で、屋上の防水工事ではほとんど施工されることはありません。

コンクリートやモルタルなどの屋上の下地はスポンジのように雨水を吸収しているために、密着工法で施工をしてしまうと、下地と防水層(ウレタン)の間に水分が溜まります。

下地と防水層の間に水分が溜まると、防水層が水ぶくれのように膨れるために、防水層が剥がれたり、ブヨブヨと膨れたり施工不良の原因となります。

防水工事の専門業者であれば、問題はありませんが、費用を安くするために「便利屋」や「DIY」など防水工事の専門外の業者で施工をする場合は注意するようにしましょう。

2-2.シート防水

シート防水
出典:川田建装

価格相場 ¥4,000〜¥7,500
工期 4日〜5日
耐用年数 15年〜20年
工法 ・密着工法
・機械固定工法
適した建物 ・障害物の少ない建物(学校、ビル、ALC、マンションなど)
オススメできる人 ・費用対効果を重視する人
・雨漏りの改修工事など
不向きな建物 複雑な形状の建物
※工期は80㎡〜100㎡の屋上の工期です。

シート防水とは水道のパイプにも使用されている、塩ビ(塩化ビニル)「シートを被せることで防水層を形成する防水工法です。

シートを被せる工法なために、ウレタン防水などの既存の防水層を撤去することなく施工できのが特徴で、雨漏りの改修工事などの屋上全体の防水工事に最適な工法です。

ただし、ウレタン防水と比べて施工が難しく対応できる業者が少ないのが現状です。施工ができたとしても、シート防水に実績のある専門業者(防水工事業者)でないと、「防水シートの隙間から雨水が侵入する」などの施工不良が発生しやすい工法のために業者選びには注意が必要です。

シート防水は「塩ビ系」と「ゴム(ブチルゴム)系」の2種類がありますが、「ゴム系」のシート防水は「塩ビ系」よりも施工の難易度が高く、施工不良を起こしやすいので現在ではほとんど施工されなくなりました。

ここからはマンションやビルの屋上で施工されることの多い「塩ビシート防水」とシート防水の2つの工法について具体的に見て行きましょう。

2-2-1.塩ビシート防水

塩ビシート防水
出典元:アービック建設

塩ビシート防水はシートを被せる工法のために、マンションやビルなどの100㎡を越える屋上の防水工事に最適な防水工法になります。

ウレタン防水と比べて、耐用年数(耐久性)が長く施工単価も同等なために費用対効果の高い防水工法として屋上防水でも広く普及しています。

シート防水もウレタン同様に「密着工法」と「機械固定工法」の2つの種類があります。

2-2-1-1.密着工法

接着剤などで防水シートを貼り付ける防水工法です。

下地に密着しているために、接着剤が剥がれたり、下地状態の影響を受けるために屋上防水の防水工法としていは向いていません。

2-2-1-2.機械式固定工法

機械固定工法は固定ディスクと呼ばれる専用の固定部材を使用して、機械的に防水シートを下地に打ち付ける工法です。

機械式固定工法は下地の劣化状況の影響を受けにくく、屋上の改修工事の場合などの広い面積の施工に優れた工法です。

2-3.アスファルト防水

アスファルト防水
出典:工技研

価格相場 ¥5,000〜¥8,000
工期 6日〜7日
耐用年数 15年〜25年
工法 ・トーチ工法
・熱工法
適した建物 ・障害物の少ない建物(学校、ビル、ALC、マンションなど)
オススメできる人 ・費用対効果を重視する人
不向きな建物 複雑な形状の建物・木造住宅
※工期は80㎡〜100㎡の屋上の工期です。

アスファルト防水とは道路コズイでも使用されるアスファルトによる防水工法で、耐久性の高い工法で200㎡を越える大規模な屋上防水で施工されることが多い工法です。

アスファルト防水は100年以上の歴史があり、その中でいくつかの工法が確立されており、工法によって材料も変わります。

アスファルト防水には「トーチ工法」と「熱工法」などの種類があり、屋上防水工事ではアスファルトの匂いが発生しないトーチ工法によるアスファルト防水が主流です。

アスファルト防水の2つの工法の違いについて具体的に解説します。

2-3-1.トーチ工法

アスファルト防水のトーチ工法
出典元:株式会社コウワ

防水シートの裏面に液状のアスファルトがコーティングしてあり、トーチバナーと呼ばれる火器をつかつてシートを炙り、アスファルトを溶かし出しながら施工する工法です。

道路工事のようなアスファルト特有の匂いが発生しないために、屋上の防水工事では広く普及している工法です。

2-3-2.熱工法

アスファルト防水の熱工法
出典:雨漏り修理の共同組合

融溶釜と呼ばれる特殊な釜でアスファルトを熱して液状にし、柄杓で撒きながら、ルーフィングを張る防水工法です。

アスファルト特有の匂いが発するために、現在の屋上防水工事では施工されることが少なくなりましたが、アスファルト防水を代用する施工方法です。

3.屋上防水工事の見積もり事例

実際の見積もり事例を確認することで、工法や相場感が分かります。実際に弊社が運営する防水マイスターで施工をした屋上防水工事の見積もり事例を確認してみましょう。

3-1.ビルの屋上防水工事

防水工事の見積もり事例

雑居ビルの屋上防水工事の見積書です。400㎡(戸建て住宅8世帯分)を超える広い屋上をウレタン防水による防水工事を行った見積もり事例です。

工事内容が正確に見積もられており、「施工面積」と「施工単価」も正確に見積もられています。

施工期間や施工中の注意点などの補足情報も見積書に記載されており、お客様目線の明瞭見積もりと言えます。

3-2.マンションの屋上防水工事

防水工事の見積もり事例

マンションの屋上防水工事とベランダの防水工事の見積書です。ウレタン防水の見積書ですが、「屋上」や「ベランダ」などの施工箇所に応じて工事内容が明確に記載されており透明性のある明瞭な見積書です。

こちらの見積書も数量と施工単価が明確に記載されており、お手本のような見積書です。

3-3.戸建て住宅の屋上防水工事

防水工事の見積もり事例

戸建て住宅のウレタン防水工事に見積もり事例です。ウレタン防水工事の見積もり事例ですが、使用する塗料の名前まで工事内容が明確に記載されており透明性のある見積もり事例です。

4.屋上防水工事の業者の選び方

屋上防水工事は、建物の劣化症状や目的に合わせて業者を選ぶことが重要です。しかし、屋上の防水工事は、業者の得意分野によって提案内容が異なったり、見積もり価格が大幅に異なる事例は少なくありません。

また、戸建て住宅の屋上防水工事と、ビルやマンションなどの大規模な防水工事では対応できる業者も異なります。

このように屋上の防水工事は業者の専門性や屋上の広さなどで適正業者が異なるために、防水工事業者を選ぶ前に、屋上防水の適切な業者の選び方について理解を深めておくことが重要です。

ここからは屋上防水工事の業者の選び方について具体的に解説します。

4-1.防水工事の専門業者を選ぶ

防水工事を塗装と混同してしまう方も多いですが、全くの別物で塗装工事と比べて施工の難易度が高い工事です。防水工事業者を選ぶ際は、防水工事の専門業者を選ぶことが重要です。

塗装業者でもウレタン防水工事を施工できる業者はありますが、シート防水やアスファルト防水に対応するできません。どうしても提案内容に偏りがあったり、適切な工法が提案されないこともあります。

屋上防水の選択肢を増やすために施工実績はもちろん、資格や許可証などの客観的な視点から業者を選ぶことが重要です。

防水工事業者の専門性を確認するために、必ず下記の項目を確認するようにしましょう。

4-1-1.防水施工技士のいる会社かどうか

建築に関する国資格で「建築士」がありますが、防水工事にも同様な国家資格があります。

防水工事で有効な資格として「一級、二級防水施工技能士」という国家資格ですが、一定の実務経験と筆記試験に合格しなければ合格するできません。

防水施工技能士の有資格者が在籍している会社は防水工事に関する一定レベル以上の技術水準を維持している業者と言えます。

防水工事業者を選ぶ際は、防水工事の国家資格である「一級・二級防水施工技士」が在籍しているかを確認するようにしましょう。

一般的に業者のホームページで確認できますが、ホームページに記載がない場合は、お問い合わせの段階で「防水施工技能士は在籍していますか?」と聞いてみましょう。

4-1-2.建築許可番号を持っているか

建築業者は工事に受注金額が500万円を超える場合は、「都道府県知事」や「国土交通大臣」が発行する”建築業許可”という許可書が無ければ受注できません。

建築業者許可の取得には「経営実績」「施工能力」「資金信用」について条件があり、建築業許可の取得は、企業として一定水準の資質が認められたことになります。

防水工事にも建築業許可が設けられており、防水工事で有効な内容として防水工事の施工に関する「防水工事業」が有効です。

このように防水工事に関する建築業許可を取得している業者は、施工品質も安定しているために、防水工事業者を選ぶ際は必ず確認するようにしましょう。

建築業許可書の取得は業者のホームページに掲載されている場合もありますが、ホームページに掲載されていない場合は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システムhttp://etsuran.mlit.go.jp/TAKKEN/kensetuInit.do」で確認できます。

4-2.見積書の内容は適切か

防水工事は相場が不透明で、施工単価や工法に関する知識が乏しいと、不正があっても気づけません。

このような金銭トラブルを未然に回避するために、防水工事の内容が適切に見積もられているかを確認することが重要です。

「防水工事一式」などの内訳が不明瞭な見積もりを提出する業者には注意が必要で、屋上防水工事の見積もりを確認する際は、必ず「工事内容」と「施工面積」「施工単価」の記載を確認するようにしましょう。

このように防水工事業者を選ぶ際は、「防水工事一式」という見積書ではなく、必ず屋上防水工事の詳細が記載された明瞭な見積書を提出してもらうようにしましょう。

下記のような一式見積もりには注意が必要です。

4-3.アフターフォロー

屋上の防水工事業者を選ぶ際は、定期点検などのアフターフォローが充実している業者を選ぶようにしましょう。

屋上防水工事の品質は施工後にすぐに確認できるものではなく、防水工法の耐用年数を満たすことで品質が証明されます。

施工不良や防水層の劣化を未然に防ぎ、屋上防水工事を費用対効果の高いものにするために、2年〜3年を目安に定期点検などのアフターフォローが充実している業者は安心です。

このように防水工事の費用対効果を最大限発揮させるために、アフターフォローが充実している業者を選ぶことが重要です。

まとめ

いかがでしたか?屋上防水工事についてご理解いただけたかと思います。

屋上防水工事は劣化症状や広さによって最適な工法が異なります。

そのために、屋上防水工事の種類を理解して適正業者に防水工事を依頼することが成功の秘訣です。

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